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“d&i Leaders Global Forum2024 in ロンドン” レポート〜​​D&I戦略が会社の戦略にリンクされているか〜

みなさん、こんにちは。みんなのコードCOOの杉之原です。
私は、これまでITベンチャー企業で組織の成長フェーズを経験してきました。みんなのコードでは、業務執行責任を担いながら、ダイバーシティ経営の観点にも注力しています。

そして、私個人としても、組織のダイバーシティをライフミッションに掲げています。前職も含めてダイバーシティに関する取り組みを始めてから10年が経つのですが、日本の外で呼吸をしてみたいと思い、ロンドンで開催された 「Diversity and Inclusion Leaders Global Forum 2024 」に参加してきました!

フォーラムは、性別・国籍・宗教などの多様性、データの重要性、アルゴリズムの公平性、AccessibilityにESGと、フォーラムで扱われたテーマは幅広く、グローバル企業でD&Iを専門にされている錚々たる方々による約30のセッションに加えて、パネルディスカッションが8回挟まり、2日間に渡ってD&Iのシャワーを浴びました。

今日は、フォーラムの学びや気づいたことを書いてみたいと思います。

多様さの交差性の中で

月並みな感想ですが、フォーラムに参加して真っ先に感じたのは、日本との景色の違いでした。登壇者や参加者における性別、年代、人種はさまざまで、グローバルフォーラムならではの空気感でした。女性が多めの場ではありましたが、私自身は、性別よりも人種のマイノリティさを強く感じました。

こういった交差性の中で語られる心理的安全性やインクルーシブ・リーダーシップの重要性は、生存上の意味合いを感じましたし、

「インパクトは何か」
「なぜD&Iが進まないか」
「(イマイチ認知されていない)D&I責任者の役割は何か」

といったテーマは、表現ひとつとっても非常に生々しいもののように感じました。

その上で、「職場でのインクルージョンを実現するためのキャンペーンアプローチ」のセッションが印象に残りました。

スピーカーのTiernan Brady(Clifford Chance, Global Director of Inclusion)は、オーストラリアやアイルランドで結婚の平等(同性婚の法制化)に関するキャンペーンのディレクター経験を持っています。

素晴らしいキャンペーンは、数多のドア、違うエントリーポイントがある。

ひとつのドアからひとつのキャンペーンではないと言います。私は、過去に、女性管理職の数を増やそうと一直線にアクションして上手くいかなかった経験があるのですが、まさにこの観点が抜けていたのだと振り返ります。

データに隠された真実はないか

フォーラムでは、「インパクトをどう測るか」「データを信じるか」「データを見てどのような意思決定をするか」といった話題や質問がよく出ていました。

なかでも、Utopia社のToluwani Farinto(Partner, Ethnicity & Social Mobility Lead)のプレゼンが印象的でした。

データから得られるInsigthtは、戦略に勝る。データに隠された真実はないか。

組織が何を求めているか。現地の文化や状況を鑑みた上で、戦略に乗せていこうという話でした。データの見方として、以下が示されていました。

  • まず、System dataを取ろう
    • 顧客データ、採用、昇進、離職率などの従業員データ
  • 次に、Demographic dataを取ろう
    • 顧客や従業員の属性情報
  • 最後に、Experience & Perception dataを考察しよう
    • エンゲージメントが低い人たち×デモグラフィックデータを掛け合わたところに不都合があるのではないか

D&I戦略が会社の戦略にリンクされているか

フォーラムのトップバッター、Uber Technologies社のOona King(Chief Diversity, Equity & Inclusion Officer)がこのように声かけをしていました。

DEI戦略があったとして、それは会社の戦略にリンクされているか。切り離されていたら意味がない。その上で、産業全体でも取り組む必要がある。

AWS社のBen Delk(Global Head of Diversity Marketing Brand Strategy)のプレゼンで、良い枠組みを知ることができました。フォーラムのまとめとしても紹介したいと思います。

 [ DEI GOAL ] powered by [ your organization ] を表現しよう

  • DEI GOAL:従業員か顧客にとってのゴールは何か
    • powered by:会社が提供できるリソースのこと
  • そのために、データを集める
    • 従業員・顧客のユニークなモチベーションは何か
    • そこをレバーにtake action
  • そのストーリーを起点にimpact together
    • 社内で紡いだストーリーをステークホルダーに伝えよう

DEI戦略と会社の戦略が結びつく、とても分かりやすいフレームワークだと感じました。

戦略をどのようにリンクさせるか

その上で、戦略をどのようにリンクさせるかという観点で、LEGO社、P&G社のプレゼンが印象的でした。

LEGO社は、D&Iの一丁目一番地は「子ども」だと言います。子どもcentered なプロダクト作りをしていて、マーケティング、採用、説明責任も地続きである。「LEGO play is for everyone.」というビジョンの実現のためには、子どもがロールモデルであり、だから、おもちゃのステレオタイプに取り組むし、そのためには意思決定層にも多様性が必要であると語られていました。LEGO社は、顧客centeredな例だと言えます。
(参考)Responsible engagement 
with children

一方、P&Gは、従業員が当事者でもあり顧客でもあり、その観点から広告のアクセシビリティが語られ、ストーリーが強化されていくという例でした。プレゼンターのSam(Company Accessibility Leader)は、自身が盲目で、製品の使いやすさに関する何億以上のpainを聞いてきた。同じくプレゼンターのAmyは、英語ネイティブではなかった経験から広告で社会を良くできると信じていると話していました。P&Gは、従業員Centeredな例と言えます。

みんなのコードに翻ると

自社に翻ると、みんなのコードは、2020年からの4年間で、組織のダイバーシティ推進と、事業活動におけるアクションを積み重ねてきました。今年3月には「D&I推進レポート〜テクノロジー分野のジェンダーギャップとその取り組みについて〜」を発行しました。

これらの変化の中で、2023年にはValue(行動指針)をアップデートしました。

みんなのコードは、もともと、働くメンバーの多様なバックグラウンドを想定して「多様性を強みに」というバリューを掲げていました。2023年に、顧客視点で「子どもからはじめよう」、D&I視点で「気づきに行こう」というバリューにアップデートしたこともあり、顧客centeredへと移行してきていると言えそうです。

次にやることは、戦略としてどう練り上げるか。ここが本丸です。バリューcenteredに中期計画やロジックモデルを表現し、顧客データで語れるように整理していきたいと思いました。

ちょうど、世界経済フォーラムによる「ジェンダーギャップ指数」2024年版が公表され、日本は118位と、前年の125位より前進したものの、特に政治と経済分野で停滞している状況です。みんなのコードで、戦略及び事業活動においても、D&Iの面からのアップデートを試みていきたいと思います。

もっと話そう!

最後に、6/19(水)20:00-21:00にオンラインイベントを予定してます!

「“ スタートアップ × ダイバーシティ ”を話そう」と題し、事業や組織の成長段階に応じてどのようにダイバーシティに取り組めばいいか、これまで出来たこと、時間がかかったこと、まだ出来ていないことなど、ざっくばらんにシェアできたらと考えています。

詳細&お申し込みはこちらです。https://peatix.com/event/3952765/view

ぜひ遊びにいらしてください!

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