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そもそも大学入学共通テスト全体はどのように変わるの?

〜未来を創る高校情報:デジタル社会を生き抜くための新たな学び(番外編)〜

今回の記事は、「未来を創る高校情報:デジタル社会を生き抜くための新たな学び」シリーズ番外編になります。

いよいよ試作問題について・・・の前に、そもそも大学入試共通テスト(以下、共通テスト)全体はどのように変わるの?という観点についてご紹介します。今回の記事は、政策提言部の田嶋に一度変わります。

大学入学共通テスト2025 全体の傾向

全体の傾向を知るために、まずは共通テストを作成している大学入試センターが発表している「令和7年度大学入学共通テストの問題作成方針に関する検討の方向性について」(以下、入試センター資料)を見てみましょう。

令和7年度試験の問題作成の方向性,試作問題等

2022年度から実施されている、新学習指導要領の内容を踏まえているということが書いてあります。しかし、専門用語も多くて一読しただけでは「それで、どこがポイントなの」と呟いてしまいそうです・・・。

そこで、旺文社教育情報センターのまとめを引用してみたいと思います。

【「問題作成方針の方向性」 全教科共通のポイント】

(1)知識の深い理解や、知識を活⽤する思考⼒が必要となる問題を重視。

(2)教科横断的に育成する⾔語能⼒、情報活⽤能⼒、問題発⾒・解決能⼒にも留意。

(3)問題では学習の過程を重視した場⾯を設定。

(4)問題の構成、内容、分量、表現等に配慮。

旺文社教育情報センター「新課程 共通テスト『問題作成方針の方向性』公表!」

この(1)-(3)を、実際の試作問題を見ながらさらに噛み砕くと・・・

(1)用語・知識の一問一答ではなく、知識を組み合わせて考える問題重視

例)

“近代日本で、義務教育が6年に延長されたのは何年?”ではなく

“1889-1920年代半ばにかけて町村の教育費が増加した理由は?”

と出題【歴史総合、日本史探究】

(2)教科に関わらず、文章や情報を読み取り、課題を解決する姿勢が必要

例)

気候変動に関するグラフを読み取る【国語】

砂浜に含まれるマイクロプラスチックの問題を数学的に考察【数学ⅡB】

(3)実際の教室での探究学習を想定した設定

例)

班別学習の発表、生徒同士の会話文、図書館での調べ学習などの場面が問題文【各教科】

このように整理できそうです。

キーワードは「課題発見・共有・解決」

(1)-(3)について考えると、大学入試センターはこんなメッセージを発しているように思えます。

日頃から「課題発見・共有・解決」の観点を持ってね!

改めて入試センター資料を見てみると、こんな風に書かれています。

社会や日常の中から課題を発見し解決方法を構想する場面,資料やデータ等を基に考察する場面,考察したことを整理して表現しようとする場面などを設定することによって,探究的に学んだり協働的に課題に取り組んだりする過程を,問題作成に効果的に取り入れる。

令和7年度大学入学共通テストの問題作成方針に関する検討の方向性について

日頃から見聞きしたことに対して、

「なんでこうなってるんだろう、何を見たら/自分が持っているどの知識を使ったら分かるかな」

「それって〇〇を活用すれば解決できるんじゃないか」

「疑問に思ったこと、考えたことはどうやったら他者に伝わるかな」

と試行錯誤して欲しい、そんな過程を経た学びそのものを試験にします。

そんな声が聞こえてきませんか?

それで、どう対策すればいいの?「情報」についてはどうなの?

それは分かったけど、具体的にどう対策すればいいの?特に新しく導入された「情報」は、そんなこといったって不安しかない、というご意見もごもっとも。

気になる方は次回の記事、乞うご期待!


(関連書籍)
思考力アップ 大学入学共通テスト「情報I」[なるほどラボ]
https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798183213

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