Asia Pacific Computer Education Conference③
こんにちは、みんなのコード代表の利根川です。みんなのコードは、日本国内で情報教育の普及を推進しているNPOです。2024年11月20日から23日にかけて「Asia Pacific Computer Education Conference」を開催し、14か国から32名の海外ゲストをお迎えし、情報教育の未来を議論する場を設けました。
今回はカンファレンス最終日となるAsia Pacific Computer Education Conference 2024と、その振り返りをご紹介します。
カンファレンスの始まりとKeynoteセッション
カンファレンス最終日は、OECDからお招きしたCassie Hague氏のKeynoteから始まりました。、Creativity & Critical Thinkingに関してお話をいただきました。。CassieはOECDでPISAのCreativity & Critical Thinkingを担当しており、日本ではあまり知られていない分野ですが、非常に重要な視点を持つ専門家です。
講演では、以下のようなポイントが語られました:
- CreativityはNice to haveではなく、非常に重要な資質能力であること。
- 世界初のものを生み出さなくとも、その子どもにとって新しいアイデアを表現すること自体がCreativityであるという考え方。
- Creativityは育むことが可能であり、そうする必要がある資質能力であること。
このように、Creativityを再定義し、それを教育現場でいかに重要視すべきかについてお話ししていただきました。
Code.orgのプレゼンテーション
続いて、Code.orgからPat Cao氏(CEO)、Simon氏(CTO)、Forest氏(VP of International Partnership)、Doyeon氏(Global Manager)が登壇し、生成AIの活用や情報教育を充実させるためのフレームワークについてプレゼンしていただきました。Code.orgは、2013年に米国で設立され、全ての生徒にコンピューターサイエンスを学ぶ機会を提供することを目指し、60以上の言語で無料のプログラミングコースを提供、180カ国以上で利用されています。私自身が10年前に「Hour of Code」に触発され、みんなのコードを日本で立ち上げたことを思い出し、そのCode.orgの幹部たちが日本でプレゼンをしている光景に、非常に感慨深い思いでプレゼンをみていました。
参加各国からのShortTalkセッション
午後は、怒涛のShortTalkセッションが展開されました。合計15本のプレゼンが行われ、日本からは以下のような発表がありました:
- 文部科学省による生成AI・GIGA・情報教育について
- Type_Tによる教員コミュニティの取り組み
- 麗澤大学小田先生によるカリキュラムの国際比較
- みんなのコードからジェンダー観点での取り組み
日本セッションに対する総括コメントとして、Code.orgからは「隣の芝生は青く見える」という日本のことわざを引用しつつ、「お互いに学び合うことが大切だ」というフィードバックをいただきました。
また、私自身もNPOセッション4本のプレゼンに総括コメントを行いました。先進国と途上国を問わず、情報教育に共通する課題が多いことを再認識し、「No country is perfect computer education So that we learn each other to go far and faster together. / 完璧な情報教育を実施している国はない。だから私たちは共に学び合い、良い教育を少しでも早く提供しよう」というメッセージを伝えました。
クロージングと次への展望
カンファレンスの終わりに、主催者挨拶をさせていただきました。私が国際カンファレンスを開催した目的でもある、”Connect, Share, Learn and Act”を強調しました。
また、カンファレンスの議論を通じて、次に向けたコミットメントとして6つの目標が採択されました。
さらに、最後に来年の開催国希望を募ったところ、1カ国でも手が挙がればと考えていた中で、なんと5カ国から希望の声をいただきました。これには大変感銘を受け、次回開催への期待が大きく膨らみました。きっとどこかの国で新たなカンファレンスを開催できると思います。
最後に、このイベントを無事に開催し、成功裏に終えることができたのは、数多くの方々の協力のおかげです。当日は限られた時間の中で個々にフォーカスすることができなかった部分もありましたが、振り返ると多くの方々の思いや尽力がこのイベントを支えていたことを改めて実感しています。この場を借りて、感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。
* まず参加者の皆さん
* スポンサーの Google さま、 ClassRoom さま
* Doyeon氏を筆頭にCode.orgの皆さま
* 学校への視察にご協力いただいた新渡戸文化学園の勝田先生、東京都立国立高等学校の小原先生、宮城教育大学附属小中の各先生方
* 通訳の小西さん、陣野さん、濱さん
* 当日ボランティアの皆さん
* みんなのコードのスタッフ
* プロジェクトマネージャーのみんなのコード田嶋さん
私は、この取り組みを単発のイベントに終わらせるのではなく、継続的なフォローアップを通じて、アジア太平洋地域全体の情報教育に貢献していきたいと考えています。みんなのコードを立ち上げてからの10年間で、Code.orgから多くのことを学んだからです。これからは、私たちがアジア地域のコミュニティに貢献し、情報教育の発展を支える役割を果たしていきたいと、改めて決意を新たにしました。