〜アラムコSTEAMチャレンジ:振り返りレポート〜
こんにちは、みんなのコードの千石です。みんなのコードでは、全国の中学校「技術」担当の先生方への研修講師や教材・カリキュラム開発を担当しています。
先日、アラムコ・アジア・ジャパン株式会社様の助成のもと実施しているプログラム「アラムコSTEAMチャレンジ」に参加された、熊本市立城西中学校 山田先生に1年間の取り組みを振り返っていただきました。本日はその様子をお伝えします。
◎先生のプロフィール
熊本市立城西中学校 山田先生
- 今年から正規採用で1年目
- 技術科専任(学校で1名のみ)
- 理科やものづくりに興味があり、大学で技術科に進学。技術の楽しさを知って教職を選んだ
- 技術科教員もしつつ、剣道部の副顧問も兼務。
うまくいかなくても、大丈夫。1年目の挑戦と手応えを振り返る
山田先生からは以下のような振り返りを共有いただきました。
▪️1年間を振り返ってみて
中学3年生を担当して、タコラッチを教材として選びました。授業時間の関係もあり、まず触ってみるということしかできず、無理やり終了してしまった感じが強かったので、来年度はこの経験を活かしていきたいです。
▪️アラムコSTEAMチャレンジに応募した理由
同じ学校に技術の先生がいないこともあり、相談できる相手がいない中、市の指導教員の先生からおすすめされて申し込みをしました。今年度は中途半端になってしまったものの、生徒の反応が良く、課題をどのように活用するかという議論は活発に行われていました。教材に興味関心を持ってくれた様子だったのは良かったです。
こんな時どうすればいい?授業づくりの細かい悩み
1年間の振り返りを経て、アラムコSTEAMチャレンジの教材のことなどお悩みを伺いました。
山田先生:全学年教えたものの、タコラッチを使ったのは3年生のみ。私も初めての教材で教材研究も不十分なまま授業に臨んでしまい、生徒の議論が1時間で収まるかと思ったのですが、思った以上に時間がかかってしまいました。2クラスそれぞれ違う課題にタコラッチで取り組むことになりました。あるクラスは防災無線がうるさいので、それを違う形で高齢者含め伝えられないかという課題になりました。電光掲示板にするとか、回覧板の代わりにロボットが各家庭を回るなどアイデアはありましたが、他にどんなふうに進めたら良かったでしょうか?
千石:親PCからそれぞれの家庭にある子端末に情報を伝えることもできるし、タコラッチは人工音声を流すことなどもできるので、こういった既にある機能を使って考えてみることもいいのではないかと思いました。
山田先生:他学年では、生物育成をしたものの、ラディッシュを枯らせてしまって、生徒へ成功体験を作れませんでした。授業としては失敗を次回しないためにどうすればいいのかという振り返りとアイデア出しをしましたが、これで良かったのか悩んでいます……
千石:生物育成は天候や環境もあるので、同じことをしていても同じように育つのは難しいですよね。私も過去に枯らせてしまった経験がありました。その経験から、失敗を活かして振り返りをしたのはすごく良い経験だったと今になって思います。
熊本という地域なので、農業従事者も多いと思います。例えばどうすれば違う天候や環境で作物が同じように育つのか、農家さんに聞いてみるのもいいかもしれませんね!タコラッチを使ってそういう方々の課題(害虫、害獣など)の解決を考えてみて交流すると、地域の方も最近の中学ではこういうことをやるのかと知ってもらえるし、生徒たちにとっても親や地域の人たちの仕事に興味を持つきっかけになるかもしれないですね。
ちなみに、計測・制御の学習と生物育成の学習は相性がいいので、技術だけでなく、理科など他の授業でも使ってもらって慣れていくのがいいと思います。他の教科の先生にも試してもらったり、広がっていくとなお良いと思いました。
山田先生:アラムコSTEAMチャレンジとは離れますが、材料の選び方についても悩んでいて、今年度は12ミリの集成材を使ったのですが、くぎを打ったら割れてしまう例も目立ちました。どうするのがいいのでしょうか?
千石:12ミリの集成材は良くある材料ではあるけれど、材料屋さんに「よく割れてしまったんだけど、どんな板がいいですか?」と聞くのが一番良いです。失敗して落ち込むけど、失敗は必ずどの先生にもあるので、「失敗させない」ではなく「失敗から次にどうするのか」を考えさせることが重要だと思います。
限られた時間ではありましたが、山田先生からは「すごく参考になりました。今後も教材研究について事例などを教わりたいです。」というお言葉をいただきました。
1年目の気づきから、2年目の伴走へ——現場に寄り添う支援を目指して
山田先生からの話を聞いて、授業時間や教材研究の時間の確保が難しいなど他の先生方にも共通する課題が多いと感じました。きっと、アラムコSTEAMチャレンジにご参加いただいている先生方にも同じような悩みを抱えている方もいるのではないかと思います。
2025年度はアラムコSTEAMチャレンジも2年目に入ることもあり、さらにどういう伴走ができるか、どんな支援が現場の先生の役にたつのかを改めて考えるきっかけになりました。
みんなのコードでも今後も現場の課題に即した支援をして、よりたくさんの生徒に良い技術教育の機会が広がるように尽力していきたいと思います。
今回ご支援いただいたアラムコ・アジア・ジャパン株式会社は、サウジアラビアの総合エネルギー・化学企業アラムコの日本現地法人です。
▶︎アラムコ・アジア・ジャパン:Where Energy is Opportunity | アラムコ・ジャパン (aramco.com)