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STEAM教材で広がる学びの可能性ー北海道岩見沢市立豊中学校での実践から【アラムコSTEAMチャレンジ 2024年度報告書】

みんなのコードは、2024年6月より、アラムコ・アジア・ジャパン株式会社様の助成のもと、中学・高校のSTEAM学習における教材不足解消を支援する「アラムコSTEAMチャレンジ」に取り組んでいます。

今回は北海道岩見沢市立豊中学校 佐藤祈先生にご報告いただいた2024年度の実践報告書をもとに授業事例を紹介します。

画像認識とサーボモータ制御による課題解決への挑戦

北海道岩見沢市立豊中学校の2年生で取り組んだのは、生成AIによる画像認識を用いた授業でした。

「身の回りにある困りごとを課題解決のアプローチで解決しよう!」をテーマに、AkaDakoシリーズのタコラッチ(以下、タコラッチ)を使いました。

授業にあたっては、AkaDakoオフィシャル教材集に掲載されている画像認識分別台の型紙と、それを作成するための5mm 厚のフォーム版、そして iPad の台を作る段ボール(30cm✕40cm)を配布しました。

<配布した教材>

授業では各班が、

  • プログラム担当
  • 画像認識分別台の組み立て担当
  • iPad台の制作担当

と自然に役割分担をしていきました。

生徒たちが、互いに声をかけ合いながら進める様子は、小規模な開発チームさながらでした。

画像認識の作業にはiPadのカメラを使いました。まずは、分別したい釘の画像を学習させ、この学習結果を元にサーボモータの角度を制御して、分別器を実現していきました。

そして、AIの機械学習で曲がった釘と真っ直ぐな釘の分別を行っていきます。

ここでは、サーボモータの角度を

  • 分別台に何も乗ってない状態:台がフラットになる角度
  • 真っ直ぐな釘を認識:フラットに対して+40度
  • 曲がった釘を認識:フラットに対して-40度 

に制御します。

次の時間には、分別台にサーボモータを組み込み、実際にプログラムを動かすところまで行いました。教室の中で生徒たちの「動いた!」という歓声があがった瞬間は、学びが抽象的な座学から具体的な成果へとつながった象徴的な場面でした。

1年生への学習機会の拡大と、ペア学習による深い学び

そして、岩見沢市立豊中学校では、2年生だけではなく、1年生33人もタコラッチを体験しました。2人1組のペアとなってもらい、タコラッチと課題解決カードを配布しました。

特別支援学級の生徒も、先生とペアを組んで参加し、全員が課題解決に取り組むことができました。ペア学習をすることにより、理解度が深まる結果となったようです。

また、課題解決カードを通じてアイデアを出し合う時間は、子どもたちの創造力を引き出すきっかけとなりました。

STEAM教育を通して、探究的な学びの成果

今回のプロジェクトを通して、地方の公立中学校においても実践的な教材を手にすることで、子どもたちは単なる技術習得にとどまらず、協働性や探究心を発揮することができました。

授業を行なった佐藤先生は、

“日常の課題を解決するなど社会生活における問題解決を行うためにプログラミングを行うという実践が、単にプログラミングありきの実践とはならなかったのでそう感じることが実感できたし、子ども達にとっても有意義であったと感じている。”

と報告書に綴られていました。

そして、生徒たちからの授業後アンケートには、

「自分で問題とその解決法を考える力を伸ばせた事がよかった」
「普段使っている電子機器の仕組みなどを少しだけどけど理解することができてロボットなどへの興味が湧いた。」
「難しいこともたくさんありましたが、自分たちで考え行動し課題に向き合う大切さを教えられました。これからAIを使っていくであろう未来でも、これが重要だとおもった。
といった感想がよせられました。

授業後には「今回ロボットやセンサー(STEAM教材)を使った授業を受けて、プログラミングを楽しく学ぶことができましたか」という問いに98%の生徒が「当てはまる/どちらかと言えばあてはまる」と回答しました。

 STEAMチャレンジの次なる一歩

実践報告書を拝見し、伴走担当のみんなのコード千石は以下のようにフィードバックしました。

“岩見沢市立豊中学校2年生にて課題解決カードを活用した計測・制御のプログラミングを実践していただきました。生徒たちが班で協力して課題解決に取り組んでいる姿が印象的です。またiPadのカメラと画像認識AIを駆使して、釘を分別する学習は上手く行かない班もありつつ、分別器も生徒たちが製作し実践されて準備が大変だったと思いますが、彼らにとって良い学びになったと思います。”

生成AIや画像認識といった先端技術に、子どもたちが夢中になって取り組む姿が報告書から見ることができました。

今年度もアラムコSTEAMチャレンジの実践は続いています。2年目となる今年は、どんな授業実践がされるのか、子どもたちの反応はどう変わっていくのか、私たちも楽しみにしています。


今回ご支援いただいたアラムコ・アジア・ジャパン株式会社は、サウジアラビアの総合エネルギー・化学企業アラムコの日本現地法人です。

▶︎アラムコ・アジア・ジャパン:Where Energy is Opportunity | アラムコ・ジャパン (https://japan.aramco.com/en)

▶︎アラムコ:Where energy is opportunity | Aramco(aramco.com)

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