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STEAM教材で広がる探究的なロボット学習―広島県立高陽高等学校の1年生238名が挑んだ動くプログラミング【アラムコSTEAMチャレンジ2024年度報告書】

みんなのコードは、2024年6月より、アラムコ・アジア・ジャパン株式会社様の助成のもと、中学・高校のSTEAM学習における教材不足解消を支援する「アラムコSTEAMチャレンジ」に取り組んでいます。

今回は広島県立高陽高等学校 情報科 高本百合香先生にご報告いただいた2024年度の実践報告書をもとに授業事例を紹介します。

ロボットカーから始まる新しい学び

広島県立高陽高等学校の情報の授業で、1年生238名が取り組んだのは小さなロボットカー「ArtecRobo2.0」を思い通りに走らせることでした。

授業の導入として、車の自動走行システムやAmazon等の物流拠点における自動走行ロボットといった具体例を通して、ライントレースの仕組みや自動運転の実用性ついて学習しました。

その後、教室に広げられていたのは、蛇行する曲線や鋭いカーブが描かれた大きなコースシートでした。

予め組み立てておいたロボットカーを用いて、指定されたコースを走行するプログラム作成を課題としました。大きくは次の課題を2つに分けて行いました。

① コースを実測し、はみ出ないようにロボットカーを走行させるプログラム

② フォトリフレクタを利用し、ライントレースによって走行させるプログラム

各課題において課題①はどこまでコースを攻略できたか、課題②はスタートからゴールまでのタイムを競うクラス内大会を行いました。

課題①・②に取り組む際には4つのレベルを練習課題として提示し、まずは直線走行のコースでプログラミングを始めました。

方向転換については、カーブを含む練習課題に取り組む中で生徒たちが試行錯誤しながら考え、実装していきました。

ロボットの“クセ”から機械の仕組みを理解

教員からは、ロボットカーが1秒間前に進むプログラムだけを提示し、それ以外に関しては生徒たち自身が試行錯誤しながら、カーブや方向転換を含むプログラムを作成していきました。プログラムの作成を進めていく中で、ロボットカーは、同じプログラムでも毎回まったく同じようには動きません。置く位置のわずかな違い、電池の消耗状態、床の摩擦の状況などによって動作が変化していきます。

生徒たちは実験を重ねる中で、ロボットの”クセ”に気づきはじめます。

こうした“クセ”を手掛かりに、機械が動く仕組みや制御の難しさを理解していきました。

画面内で完結するプログラムと、現実の世界で「モノ」を動かすプログラムの違いを感じてもらうことができました。

授業で生まれた成功と失敗の経験

授業を通して、ロボットが思い通りに動いたときの達成感に加え、思い通りに動かなかった経験も、生徒たちの確かな成長につながっていました。また、他の班の動きを参考に、自分の班のプログラムと比較・検討し、改善を試みる姿も見られました。

授業を行った高本先生は、

ヒントを出さないと難しいと予想していたが、どの班も自分たちで試行錯誤し、方向転換のプログラムができていた。方向転換の方法についても、左右のタイヤをそれぞれ前後に回転させる方法や、一方のタイヤの回転を止める方法などがあり、班によって異なっていた。さらにクラス内大会で他の班の動きを見て自分の班との違いを見つけ、プログラムの違いによる実際の車の動きについて考える姿も見ることができた。

今年度はこの実践を行う前に、プログラミングの実習にGoogle Colaboratoryを用いていたが、来年度はArtecRobo2.0 を使ってPythonの学習を行いたい。また情報デザインや情報社会など他の単元でも活用していきたい。

と報告書に綴られていました。

そして、生徒たちからの授業後アンケートには

「授業を受けたことでプログラミングを身近に感じることができ、ロボットを活用して周りのためになにかしてみたいと思うようになった。」

「センサーやロボットカーの動きをどうコントロールするかなど、実際にやってみることでよりわかりやすく実感でき、ロボットを使わなかった授業よりもより理解が深まりました。」

といった感想がよせられました。

生徒の探究心を刺激するアラムコSTEAMチャレンジ

実践報告書を拝見し、伴走担当のみんなのコード永野は以下のようにフィードバックしました。

課題を複数設定したり、タイムを計測する大会を実施するなど、生徒たちの興味を引くような授業設計を工夫されていることが感じられる実践でとても素晴らしいと思います。

また、まずは動かしてみるグループと、仕組みから考えるグループがいるなど、取り組み方にも自由さが実現されているところも素晴らしいと思います。どちらの取り組み方も正しいと言えるもので、それぞれのグループで意見交換などするのも良いですね。

画面内では正しく動くプログラムも、現実世界ではタイヤの摩擦や滑りなどによってその通りに動かないことなど経験することによって、実生活とプログラムの関係などについて、より実感を持って捉えられると思います。

AretecRobo2.0を使って実際に動かす実体験が、生徒たちの探究心を刺激し、実社会と技術の関係を深く理解する姿が報告書から見ることができました。

アラムコSTEAMチャレンジの関連記事は、こちらをご覧ください。


今回ご支援いただいたアラムコ・アジア・ジャパン株式会社は、サウジアラビアの総合エネルギー・化学企業アラムコの日本現地法人です。

▶︎アラムコ・アジア・ジャパン:Where Energy is Opportunity | アラムコ・ジャパン ( https://japan.aramco.com/

▶︎アラムコ:Where energy is opportunity | Aramco
( aramco.com

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