みなさん、こんにちは!みんなのコードで中学校の担当をしている千石です。普段は、中学校の技術科向けの教材やカリキュラム開発、教員向け研修を行っています。私自身、東京都内の中学校で技術・家庭科(技術分野)の教員として11年間勤めていました。現場の経験を活かして、教育現場の変化や新しい取り組みをサポートしています。
今回はさいたま市立浦和中学校の理科教諭である綿貫先生に、AkaDakoを授業に取り入れたいと思った理由や、教科横断的な学びなどについてお話を伺いました。
話し手:さいたま市立浦和中学校 理科 綿貫好晃 教諭(肩書きは2025年インタビュー当時)
聞き手:みんなのコード 講師・研究開発 千石一朗
科捜研から教員へ
千石:
綿貫先生は教師歴も長いとお聞きしましたが、改めて自己紹介をお願いできますか?
綿貫先生:
さいたま市立浦和中学校で理科教師をしている綿貫です。教師歴は30年になります。大学卒業後は技術吏員として、科学捜査研究所、いわゆる科捜研に数年勤めていました。爆発物や拳銃の検証や、事故などの検証に関わり、犯罪の立証のために裁判に立ったこともありました。しかし、「過去を0にする仕事」ではなく「未来を創造する仕事がしたい」と思い立ち、教職の道に転身をしました。
千石:
すごく異色のキャリアだったんですね。未来を創造する仕事として教職を選ばれたのは何か他にも理由があったのでしょうか?
綿貫先生:
もともとボーイスカウトをやっていたこともあり、子どもたちと関わることが多かったので、教育に携わりたくなったんです。それなら生まれ育った埼玉で教師になろうと思い、今にいたりました。
千石:
子どもたちと関わりながら、未来を創造していくという教職は良い仕事だと私自身も思いますし、そのお考えが素敵だなと感じました。
生徒の創造性を生むSTEAM教材(ハードウェア教材)の魅力
千石:
今回はご紹介があってアラムコSTEAMチャレンジに応募されたと聞きました。応募の理由や実際に授業をやってみた感想をお聞きしたいです。
綿貫先生:
さいたま市ではSTEAM教育の取り組みなどもありますが、教材などに物足りなさを感じていました。もともと私がガジェット好きで、部活動でもロボカップジュニアを扱うことをやってきておりまして、そういったテクノロジーを使って物を動かしたり新しい体験を得ることが生徒たちにとって大事だと感じていました。
そんな中でアラムコSTEAMチャレンジのことやAkaDakoのことを知り、これはぜひ取り入れてやってみたいと思いまして、応募をさせていただきました。
千石:
その部活動は楽しそうですね!AkaDakoについては、ご自身の理科の授業でお使いになる想定で申し込まれたんでしょうか?
綿貫先生:
理科での活用はまだ手探りで、先日実習生が植物生育のところで使ってくれたり、葉っぱを採取してAIやWeb検索をAkaDakoが行い、なんの植物か教えてくれるというところくらいでしかまだ使えていません。ですので、もともとは総合的な学習での活用を考えて応募しました。
千石:
実際に活用されてみて、生徒の皆さんの反応などいかがでしたか?
綿貫先生:
生徒は楽しそうに使っていました。今テクノロジー系の部活動でも引き続き使っていますが、チラシの画像からどんなアレルギーに配慮してどんな料理を作るといくらになるのかなど、新しい発想で使っていて、こちらがなるほどなと感心します。
また、授業で使うにあたって助かったのは、AkaDakoは授業用のスライドも用意されているので、自身で作り込んだりせずに内容を理解してすぐ授業で使える点が素晴らしいと思いました。実際に実習生にもあまり説明せずに渡したのですが、授業のスライドなどから内容を理解し、授業に臨んでいたので、これは教員の理解度に関わらず使える教材であると感動しました。
千石:
アラムコSTEAMチャレンジの教材選定の際、パッケージとして授業がすぐに誰でも行えるというのは目指していたところなので、そう言っていただけるととても嬉しいです。

教科の枠を超えて ー未来の教育に必要な視点ー
千石:
私の教員時代には、理科と技術はお互いにやる内容が重なったりすることもあって、連携しながら授業も行うようにしていたのですが、先生の学校ではどうですか?
綿貫先生:
そうですね、理科で先に電気を学んでいるから技術でも教えやすいという声はあります。あとは「こういう質問があったけどどう答えているの?」とか、「ここまで教えて進めたよ」ということの連携はありますが、まだまだ連携できる余地があると思っています。
私は昔アメリカに研修でいったことがあり、その時現地で行われていた授業は、生徒たち実際に地域の商店街に行き、お店の方と課題を共有してどう商品開発をするかとか、お客さんの呼び込みをどうするかなどを実地で検証していくというのがありました。本来、教育とはそういった総合的なものであると思っており、総合的な学習でも教科横断でさらに取り組んでいくべきだと私は考えています。AkaDakoもこういった地域課題を解決できる可能性があると思いますし、そういった小さな体験を実際に授業の中でもできたらと思いました。
千石:
実際、先生たちは授業で教科書に書いてあること、自身の知っていることを正しく教えなければという思いが強いです。私も、こうせねば!とネットワークの授業で教科書の内容を、無理やり教え込ませようとして生徒たちが辛そうな表情をしていたことを思い出しました。やはり体験から学べる要素があるのは良いですね。
綿貫先生:
STEAM教育の概念は一杯のお茶に例えられることがあります。例えば、茶葉からのお茶の抽出は科学ですし、お茶の色に着目すればそれは美術になる。安くいい品質でたくさん収穫できるようにするにはと考えを巡らせればそれは理科や社会になります。このように自分の教科の範囲外だから、ということは生活においてないわけで、総合的な学習に関われないということはないと私は考えています。
なので、これからの未来の教育は、さらに教科横断でコミュニケーションをとって、教師自身のマインドを変えながら取り組んでいく必要があるのではないかなと感じました。
千石:
それはその通りだと思います。今後の指導要領の改訂などにも期待していきたいですし、私たちもNPOとして働きかけしていければ良いなと思いました。

教材が拓く教科横断の形 ーインタビューを終えてー
綿貫先生とのお話は、私自身にとっても非常に刺激的でした。特に印象に残ったのは「一杯のお茶」の例えです。
お茶の成分を調べれば「理科」ですが、産地や流通を考えれば「社会科」、パッケージをデザインすれば「美術」になります。生徒たちが向き合う社会の課題には、そもそも「理科」や「技術」といった教科のラベルは貼られていないのだと、改めて気づかされました。
ただ、現場の感覚として、「カリキュラム・マネジメント」や「教科横断」という言葉を聞くと、どうしても「また大掛かりな調整が必要になるのか」と身構えてしまう先生も多いのではないでしょうか。
でも、入り口はもっとシンプルで良いのかもしれません。たとえば、AkaDakoのような面白そうな教材が職員室の机に一つある。それだけで、通りがかった先生と「これ、数学や社会の統計でも使えそうですね」「美術ならこう表現するかな」といった会話が自然と生まれることがあります。
難しい会議から始めるのではなく、一つの教材をきっかけに教科の枠が少しずつ溶けていく。 そんな草の根の「教科横断」が、これからの学校現場で広がっていくことに期待したいですし、私たちみんなのコードも、そのきっかけづくりを全力でサポートしていきたいと思います。
今回ご支援いただいたアラムコ・アジア・ジャパン株式会社は、サウジアラビアの総合エネルギー・化学企業アラムコの日本法人です。
▶︎アラムコ・アジア・ジャパン:Where Energy is Opportunity | アラムコ・ジャパン
( https://japan.aramco.com/ )
▶︎アラムコ:Where energy is opportunity | Aramco
( aramco.com )

