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STEAM教材で「やってみよう」が広がった2年間 ― 先生の伴走者が振り返るアラムコSTEAMチャレンジ(前編)―

みんなのコードは、2024年6月より、アラムコ・アジア・ジャパン株式会社様の助成のもと、中学・高校のSTEAM学習における教材不足解消を支援する「アラムコSTEAMチャレンジ」に取り組んでいます。

本事業は、全国で5,000名の中高生がハードウェア教材(STEAM教材)を使った授業を受けることでテクノロジーに親しみ、社会課題に取り組む力を身につけることを目指す2年間のプロジェクトです。

今回は、中学校、高校の各学校の伴走を担当してきた、弊社千石と永野が2年間を振り返ります。

アラムコSTEAMチャレンジをやってみて良かったと実感したこと

-本プロジェクトを通して、率直な感想をおしえてください!

千石
まずは採択校の先生方のおかげで、5,000名の中高生にSTEAM教材を使った授業機会を提供することができてよかったですし、私たちが想像していた「テクノロジーに親しみながら、社会課題に取り組む力を身につける」生徒の姿を学校の現場で数多く見ることができました。
今までは、教科書には載っているけれども、STEAM教材がないからうまく教えることができないという課題がありました。今回のプロジェクトでは、各先生が必要なハードウェア教材を選び、実現したかった授業を行うことができました。

その結果、子どもたちがパソコン画面の中だけに留まらず、教材やプログラミングを通して身の回りの課題に取り組もうとする姿を見ることができたのがとても印象的でした。

永野
学校現場の先生方は、日々生徒の興味関心を引き出すための授業を模索していますが、予算や授業時間が限られている中で、それをどう実現するかという難しさを感じています。今回、アラムコさんからご支援いただいたことで、ハードウェア教材を提供でき、生徒たちも楽しんでいる姿を見ることもできたので、こういった支援ができたことはとても有益だったと感じています。

-実際に伴走してみて、よかった事例はありますか?

永野
Magazineにも記事が載っていますが、三重県立昴学園高等学校の事例は印象的でした。ハードウェア教材の使い方授業で教えるのではなく、まず生徒に触らせてみる、任せて試してみるというスタイルの授業の実践を見ることができました。

情報の授業だけでは授業時間が足りずに、「考える」、「探究する」ような授業を組むことはなかなか難しいですが、総合的な探究の時間の授業にハードウェア教材を使ってじっくり「考える」「探究する」授業に取り組めたのは、良い事例だと感じました。

千石
良い事例という意味では、授業の内容もそうですが、先生自身が2年間でどう変わったのかということも伴走してみて実感しました。

伴走していた日野市立三沢中学校の堀内先生は新任で、最初の年は教科書や教材資料を駆使して授業をしていました。しかし2年目には昨年生徒たちがこういう反応だったから、こうしたい!など先生自ら授業に対してのアイデアなどを持っていました。そういう前向きな反応を良い形でサポートできたと思います。単年ではなく、2年間のサポートだったからこそ、こちらも気づきがありましたし、一緒にトライしてさらなるチャレンジをすることができたのはよかったと思いました。また、ハードウェア教材があることで変容する先生や生徒たちの姿を目の前で見ることができました。

ハードウェア教材だからこそできたこと

-プログラミングというと、画面上で行うソフトウェア系のものもありますが、今回ハードウェア教材を使ったプログラミングだからこそできた体験はなんだと思いますか?

千石
ハードウェアを扱う経験は、プログラミング学習において重要だと思います。特に中学校の技術科では、画面内でのプログラミングと現実世界での計測や動きやを通して「サイバー空間とフィジカル空間の融合」を図っていく必要があります。それを経験するためにはどうしてもハードウェア教材の存在が不可欠になります。

現実世界で得られたデータを画面の中でどう扱うのか、どう動かしていくのかを、自分の手で触って身近に感じて、体験をしていくことが大切だと強く感じます。

永野
高校では通常、主にテキストプログラミングを学ぶことが多いのですが、ハードウェア教材の良さというのは「まずやってみよう」が実現できるところだと思います。テキストプログラミングで、なんの知識もなしに「まず何かやってみよう」と言われても、どうしていいかわからないので何もできません。ハードウェア教材はとりあえずボタンを押してみよう、光らせてみようとか、いろいろ試行錯誤ができます。ハードウェア教材だと生徒のチャレンジ精神が自然と行動に移っていくのがいいところだと思います。

あと、ハードウェア教材だと千石さんが言ったようにリアルな動きなどを実感できます。高知県立窪川高校では、センサとポンプを使って自動でシクラメンへの水やりシステムを作っていました。土が乾いているのかなどセンサを使って測定し、自動で水やりをするというのは、これまで手作業で水やりをしていた実体験とつながっています。こうした自分の体験と学習を結びつけやすいというのはハードウェア教材の強みですね。

-ハードウェア教材を活用しない場合、どういったことが懸念されますか?

永野
画面の中のプログラミングでも、コンピュータの中で自分たちのやりたいことを実現することはできると思います。

けれども、ハードウェア教材の良いところは、より「できることのイメージがつきやすい」ことです。授業でテキストプログラミングは習ったけど、結局自分にとって何ができるようになったのか、というイメージが持ちにくい場合があります。ハードウェア教材には、実生活とのつながりや自分との関係性を感じやすいという側面がある気がします。

千石
最近あった話なのですが、ある学校で学生にアプリ作りの課題を設けたところ「駅前のファーストフード店が混んでいるか空いているかを調べるアプリを作りたい」と言っていたそうなんです。でも、それは決して簡単なことではありません。お店が「混んでいる」とはどういう状態なのか、どんなセンサで、何を測定するのか?どんな基準で「混んでいる」判断するのかなど、計測・制御やネットワークなど、システムを理解していないと考えられない部分が多いと思います。

たとえば、先ほどのシクラメンの例であれば、土の乾き具合や気温、日照時間などをセンサで取得し、それを判断材料にポンプを動かしたり、スマートフォンに通知する仕組みが考えられます。こうした一つの大きなシステムをつくるために必要な要素について、AIでなんでも任せてしまうのではなく、中学校・高校と連続した学びの中で段階的に身につけてほしいと考えています。

(後編に続く)

今回ご支援いただいたアラムコ・アジア・ジャパン株式会社は、サウジアラビアの総合エネルギー・化学企業アラムコの日本現地法人です。

▶︎アラムコ・アジア・ジャパン:Where Energy is Opportunity | アラムコ・ジャパン
https://japan.aramco.com/

▶︎アラムコ:Where energy is opportunity | Aramco
https://aramco.com

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