こんにちは。てくテックすさきでコーディネーターをしている永野です。
高知県須崎市にある「てくテックすさき」は、テクノロジーを使って子どもたちが自由に創作を楽しめる第3の居場所です。学校でも家庭でもない場所で、子どもたちが純粋に自分の「やってみたい!」に向き合える環境が広がっています。
今回は、もともと教員を目指していた私が、なぜてくテックすさきのコーディネーターになったのか、そして、日々子どもたちと関わる中で感じていることをお話しします。子どもと関わる仕事に興味のある方に、少しでも届いたらうれしいです。

「ここに住みたい」と思った
てくテックすさきを知ったのは、2022年10月です。大学院生のときに、大学の先生の紹介で見学に訪れたのがきっかけでした。施設に足を踏み入れた瞬間、「ここに住みたい!」と口にしたことを今でも覚えています。
ものづくりが大好きな私にとって、3Dプリンターやレーザー加工機、パソコンが並ぶ空間は魅力的でしたし、“第3の居場所”という在り方にも強く惹かれました。
私は中学生の頃、学校に居場所がないと感じていた時期がありました。そんなときに支えになってくれた先生の存在から、「誰かのよりどころになれる大人になりたい」と思い、教員を目指してきました。
でも、教育実習を通して、「決められたことを教えること」や「人前で一斉に教えること」への違和感や自分の教員への向いてなさを感じるようになり…。そんなときに出会ったのが、てくテックすさきでした。
先生でも親でもない、少し先を行く大人として、子どもたちと関わりたい
もう一つ、魅力に感じたのは、てくテックすさきを運営している「みんなのコード」のビジョンです。地域・家庭・ジェンダーの差をなくして、「誰もがテクノロジーを創造的に楽しむ国にする」という、メッセージに共感しました。
ものづくりは、私にとってただの趣味ではなく、生きがいであり、人生そのものです。
小さい頃から工作が好きで、夏休みの工作をこだわりぬいて作ったり、図工、美術、技術、家庭科などものづくり系の教科は、授業時間中では飽き足らず放課後まで黙々と作業するほど、夢中になっていました。
高知県という地方で暮らし、女性で技術教育の研究をするなど、いつもマイノリティにいながらも、テクノロジーや創造への熱意を燃やし続けていた自分にとっては、この環境的な差によって、やりたいと思ったときに「自分には無理だと」思う人が少なくなってほしいと願っています。
てくテックすさきは、先生でも親でもない、少し先を行く大人として、子どもたちと一緒にものづくりを楽しむ中で関係を育てていける場所だと確信しました。
そして出会いから1か月後、教員の道ではなく、てくテックすさきのメンターとしてのキャリアをスタートさせていきました。
みんなのコードとは ? – 特定非営利活動法人みんなのコード
うまくいかないからこそ見つかった、私らしい関わり方
てくテックすさきでの日々の業務は楽しいです。機材と触れ合ったり、展示を考えたりすることは自分の好きなこと・技術を活かせているので、とてもやりがいがあります。
一方で、正直に言うと、うまくいかないこともたくさんあります。
私は自分から話しかけるのが苦手なので、メンターとして入社した当初は、子どもとのコミュニケーションにすごく悩んでいました。
そんなときに、他のメンバーから「全員が同じタイプだったら、合わない子もいるよね」と言われたことが、大きな気づきになりました。「私なりの関わり方で心地よい子もいるんだな」と良い意味で割り切れるようになりました。
それ以降は無理に話しかけるのではなく、そっと寄り添う関わり方に変えていきました。すると、少しずつ関係が築けるようになり、「この距離感がちょうどいい」と言ってくれる子もいます。
2025年4月にコーディネーターとして入社してからも、企画を立てても誰も参加してくれなかったり、誘っても断られたり、落ち込むこともあります。それでも、長く関わる中で少しずつ心を開いてくれたり、私の作品を見て子どもが「やってみたい」と言ってくれたりする瞬間があります。
「この子のものづくりをする“きっかけ”になれたかもしれない」と思えたとき、この仕事をやっていてよかった!と感じます。
最初はうまくできないと思い悩んでいたことが、今では自分の持ち味として発揮できていて、やりがいにつながっています。
メンターを経験したからこそ実感!コーディネーターの魅力
現在はコーディネーターとして、メンターのサポートや施設全体の運営に関わっています。
メンターが子ども一人ひとりに寄り添うのに対し、コーディネーターはチーム全体が力を発揮できるように支える役割です。
任せることの大切さを感じながら、全体を見て動くことを意識しているのですが、自分が先に動いてしまうこともあります。そういうときは、自分でやりたいという気持ちを抑えて、メンターに任せられたり、役割分担をしたりできるように意識しています。
また、新しい機材の導入提案や仕組みの改善など、施設をより良くしていくための取り組みにも関われる点に、大きなやりがいを感じています。自分のアイデアが実際に形になり、環境として反映されていくプロセスに関われるのは、コーディネーターならではの面白さだと思います。
ものづくりの“種まき”と“水やり”をしていきたい

コーディネーターとして私が大切にしているのは、ものづくりの“種まき”です。
今週の創作お題としてメニューを提示したり、私自身が作ったものを飾ったり、ちょっとした便利グッズや掲示・収納に使うアイテムを3Dプリンターで自作したり、作品集を作ったり、シール交換所やオリキャラ交流ノートを置いたり…何も言わずにそっと展示しています。
以前は「一緒にやろう」と声をかけていましたが、多くの場合は断られてしまいました。でも、子どもたちから「これ何?」「どうやるの?」と声をかけてくれたときには、すでに“やりたい気持ち”が芽生えているので、嬉しくなりますね。
たとえば、シール交換企画を立てて展示していたとき、普段はボードゲームをしている子が興味を持ち「これをシールにしたい!」と制作に挑戦してくれたことがありました。まさに小さな”種まき”が、子どもたちの行動のきっかけにつながった瞬間でした。
そして、そのあとの“水やり”も大切にしています。
「もっとやりたい」「次はこれをやってみたい」という気持ちに寄り添い、広げていくサポートをしていきたい。そのためにも、まずは私自身が機材やソフトを使って、創作そのものを楽しんでいる姿を子どもたちに見せていきたいです。
正解がないからこそ、私らしく働ける
私はものづくりが大好きなので、子どもたちにも面白いことに出会ってほしいという想いがあります。子どもたちが私を通してものづくりに出会える ― そんな存在になれたらと思っています。
子どもたちとの接し方も、ものづくりも、正解はありません。
だからこそ、自分の持ち味を存分に活かしてチャレンジできる、やりがいのある仕事です。
もし「自分らしく子どもたちと向き合いたい」「子どもたちの『やりたい!』を支えたい」と思う方がいれば、ぜひ一度、てくテックすさきに遊びに来てみてください。あなたの「好き」や「得意」が、誰かの「やりたい」のきっかけになるかもしれません。


