こんにちは。みんなのコードで主に小学校での教育支援・伴走を担当している竹谷です。
生成AIの話題が毎日のように飛び交うようになりました。教育委員会の方や管理職の先生方とお話ししていると、このような声をよく聞きます。
「先生方への研修をしなきゃいけないのはわかるんだけど、一体何をどうしたらいいのか・・・」
「文科省からガイドラインは出た。社会的に話題にもなっている。でも、具体的に何をすればいいのかが分からない」
そんなもどかしさを感じている方は、少なくないのではないでしょうか。
先日、ある自治体の小学校で、先生方向けに生成AIの研修を行いました。今回はその際に起きた「空気の変化」をご紹介します。
私の気づきが、研修の企画を考えている皆様の参考になれば幸いです。
研修前の不安な空気
会場に入って最初に目に入ったのは、先生方のどことなく固い表情でした。期待よりも不安や戸惑いの方が強そうだな、という印象を受けました。
しかし、これは無理もないことです。教育現場は子どもたちへの影響を第一に考える場所ですから、正体のよくわからないものに対して慎重になるのはむしろ健全な反応です。
加えて、先生方は日々の業務でとにかく多忙を極めています。「必要性を感じられないものに、これ以上時間を割く余裕はない」というのが正直な本音でしょう。
私自身、30年間小学校の教員を務めていましたし、現在は全国の学校を訪問しているからこそ、この「戸惑いの空気」がごく自然なものであることはよく分かります。
不安を抱えたまま、使い方だけを伝えても活用が進むはずがない。
研修では、会場に入った瞬間に感じたこの空気感を大事にしながら、「まずは先生方の心理的ハードルを下げ、安心してもらうこと」から進めていきました。
心を動かすのは、子どもの姿と実体験
研修の最初に、子どもたちのAI利用に関する調査データを示しました。ベネッセの調査(2025年11月・小学校3〜6年生対象)によると、45.9%の児童が生成AIを「知っている」と回答、そのうちの54.2%が「よく使っている」「ときどき使っている」と回答しています。つまり、小学校でも教室の4分の1程度の子どもたちが、すでに日常的にAIに触れている可能性があるのです。
この事実を示すと、先生方の表情が少し変化しました。「子どもたちの間に広まっているなら、大人がきちんと知っておかないと」というスイッチが入ったのではないでしょうか。先生方の心を動かすのは、いつも子どもたちの姿だなと感じます。

生成AIに対して少し関心をもっていただいたところで、早速先生方にもAIを体験してもらいました。子どもたちがすでに触れているものを、まだ一度も使ったことがない先生もいらっしゃいます。その状況から一歩進むためには、とにかくまず触ってみる体験が必要だと考えています。
このときは、みんなのコードが提供している「みんなで生成AIコース」を手元の端末で開いてもらい、全員にまったく同じプロンプトを入力してもらいました。
「ネコが出てくる短い話を作ってください。」
送信ボタンを押すと、すらすらと画面に文字が表示されていきます。「隣の人と見せ合ってみてください」と促すと、あちこちから声が上がりました。
「え、なんか違う!」
「ネコの名前はタマだよね?」
「いや、こっちはミルクって名前だけど」
「同じ質問をしたのに、人によって答えが違う」という体験が、先生方の不安を好奇心に変えるきっかけになりました。このように「自分の手で触って、目の当たりにする」というプロセスを研修の早い段階に入れられるかどうかが、その後の時間の「温度」を決めると感じています。
仕組みがわかると「使いどころ」が見えてくる
体験のあとに、以下のようなAIの仕組みを整理しました。
- 「検索」ではなく「生成」。ネット上の答えを探しているのではなく、その場で文章を組み立てている
- 「確率」で言葉をつないでいる。次にくる確率が高い言葉を選んでいるだけ
- 意味そのものは理解していない。だから事実と異なる回答(ハルシネーション)も出る
こう説明すると、先生方は自分で考え始めます。
「だからさっきは人によって違う話が出てきたのか」
「調べものをするより、アイデア出しに使った方がよさそうだね」
「壁打ちに付き合ってもらうといいかも」
仕組みがわかれば付き合い方も見えてくる。これも大事なポイントです。
後半は、先生方の日常業務に直結する場面で自由に試してもらいました。
例えば、「1月の学年だよりの挨拶文を作って」と指示すれば、保護者向け文書の作成に役立つでしょう。生成AIは文書の要約も得意ですので、「この会議資料の要点を3つに絞って整理して」とお願いすることも考えられます。「この単元の学習クイズを10問作って」と、教材づくりに役立てることもできそうです。
ある先生は「このままでは使えないところもありますが、すぐにたたき台が出るからゼロから考えるよりも早いですね。」と言ってくださいました。校務の負担軽減という自分ごとにつながると、さらに積極的な姿勢が見えてきます。この変化は、研修をやるたびに出会う場面です。

研修後に見えた変化
冒頭に漂っていた「戸惑い」の空気は、研修が終わるころにはすっかり変わっていました。
終了後に校長先生からこんな言葉をいただきました。「実践的な研修だったので、校務の効率化を進める大きなきっかけになったと思います。ある先生が、『これもできる、あれもできる!』と興奮気味に言っていましたよ。」
研修後のアンケートで「今後どんな場面で活用してみたいですか」と聞いたところ、たくさんの具体的なアイデアが挙げられました。
- 配布したプリントの確かめとしてフラッシュカードを作りたい
- 外部研修の内容を伝達するとき、手書きメモをまとめるのに使いたい
- 授業の振り返りにクイズを取り入れてみたい
- 長い通知文の要点を抽出して、職員に共有するときに使えそう
- ルーブリックや学習計画の作成に活用したい
アンケート結果からもデータで納得 → 体験で驚き → 仕組みで理解 → 実践で手応えという流れが効果的であったことが分かります。
一緒に研修を考えてみませんか?
みんなのコードの研修では、対象や目的に応じて内容を組み替えています。
対象
小・中・高・特別支援学校の校内研修、教育委員会が企画する研修、各種研究会での勉強会など、様々な方を対象にした研修の実績があります。
所要時間
90分程度から半日程度のワークショップ形式まで、ご希望に合わせて調整します。
内容例
生成AIの基本理解、校務活用の実践、授業での活用アイデア、情報活用能力との接続、AIリテラシー指導のポイントなど。現在の活用状況などに応じてカスタマイズします。
「まず管理職だけで試してみたい」「情報教育担当者向けにもう少し深い内容を」といったご要望にも対応可能です。
研修についてのご質問やご相談は、お気軽にお声がけいただければうれしいです。一緒に「最初の一歩」を考えるところからお手伝いできればと思います。
お問い合わせ先:info@code.or.jp

