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みんなのコードマガジン

活動レポートをお届けするウェブマガジン

全国5,000人の中高生へハードウェアを使ったSTEAM教育を

〜アラムコSTEAMチャレンジ40校が決定!〜

こんにちは、みんなのコード パートナー部(ファンドレイジング担当)の花田です。

私は、以前はプロオーケストラの事務局で制作事務として働いていましたが、出産・育児によるワークライフバランスの変化に伴い転職を決め、今年の4月にみんなのコードに参画しました。前職でも学校・子ども向け演奏会の制作サポートを行っていた経験から、みんなのコードに入社直後より「アラムコSTEAMチャレンジ」の事務局担当をしています。

みんなのコードは、2024年6月より、アラムコ・アジア・ジャパン株式会社様の助成のもと、中学・高校のSTEAM学習における教材の不足を支援する「アラムコSTEAMチャレンジ」に取り組んでいます。8月上旬に「アラムコSTEAMチャレンジ」の最終選考が行われ、採択40校が決定しました。

今日はアラムコSTEAMチャレンジの選考についてお話ししたいと思います。

ハードウェアで広がる学び:アラムコSTEAMチャレンジとは

私たちは、STEAM学習で期待される探求心や創造性の育成には、パソコンの画面上だけではなく、ハードウェア教材を活用し、事象を体験して得られる学びが重要だと考えています。しかし、この環境が十分に整っていないことが、日本の公立学校におけるSTEAM教育の課題の一つとして挙げられます。

そこで、中学・高校のSTEAM学習における教材の不足を支援する「アラムコSTEAMチャレンジ」が始まりました。

このプロジェクトを通じて、全国40校の中学校・高等学校にSTEAM教材を提供し、全国で5,000人の中高生に届けていきます。そして、生徒たちは、単なる知識習得に留まらず、「実社会の課題解決を体験する学び」を得て、将来の生活や社会を自らより良くするための課題解決能力を身につけることを目指しています。

初任教員・女性教員にもチャンスを:アラムコSTEAMチャレンジ40校の選考プロセス

ここからは、採択プロセスについてお話ししていきます。
2024年6月4日から7月19日まで約1ヶ月間募集をかけ、多くの学校・自治体からご応募いただきました。

一次選考は書類審査を行い、二次選考のオンライン面談を経て、先日、選考委員を交えた最終選考を行いました。

選考には、広島工業大学 情報学部 情報システム学科の安藤 明伸教授、横須賀市教育委員会 学校教育部教育指導課 主査指導主事の新谷 美紀先生、全日本中学校技術・家庭科研究会 会長の三浦 利信先生にご参加いただきました。最終選考を経て、無事に40校が決まりました。採択一覧はこちらからご確認いただけます。

今回のプロジェクトの中でこだわった点があります。それは、採択校のうち2割を女性教員応援枠、うち1割を初任者応援枠を設けたことです。これは、みんなのコードが課題として感じているテクノロジー分野における先生のジェンダーバランスや、経験年数の少ない若手の先生にもチャンスを作りたいという思いから設置したものです。

応援枠について、正直なところ、募集を始める前は、それぞれ数に満たないのではないかと危惧していました。ところが結果的に、女性の先生からは全応募数の36%、初任の先生からは全応募数の43%の応募があり、予想を上回る結果となりました。

中には、今年4月に技術教員として採用された女性の先生もいらっしゃり、選考委員の安藤先生からも「STEAM教育としてフィジカルコンピューティングを扱いたいと思っても、授業に必要な台数を揃えることが難しく、特に新任の先生にとっては、予算を獲得することはとても大きな課題です。応募の内容からは、こうした課題の改善や、新たな授業にチャレンジしたいという意欲を感じました」という総評をいただきました。

また、特別支援学校からの応募も数校ありました。担当の先生からは「技術分野の理解は言葉だけでは難しく、STEAM教材を使う事で実感を伴った課題解決をさせたい」「発語がない生徒への支援ツールとしても使っていきたい」といった声がありました。

アラムコSTEAMチャレンジの選考を通じて、私は、みんなのコードが掲げるビジョンである「誰もがテクノロジーを創造的に楽しむ国にする」を体現したいと改めて感じました。

一方、応募校を都道府県別にみると、全国からご応募いただいたものの、やはり関東圏からの応募が多く、地域差が大きく出ていることに課題を感じる結果となりました。

先生たちの思いと現状:オンライン面談で見えたSTEAM教育の実情

二次選考のオンライン面談では、応募いただいた先生方に対して、これまでのSTEAM教育の課題についてもお話を伺うことができました。

その中で「Scratchなどを使った画面上でのプログラミング授業は行えるが、センサなどを有するはハードウェア教材を用いた実体験に基づく学習の機会が少なく、課題を感じている」という意見を持った先生が多くいらっしゃいました。

ハードウェア教材を使えるかどうかは、先生方の情熱や創意工夫だけではどうにもならず、結果として、生徒が経験するプログラミング教育の差が生まれる現状に、改めて今回のプロジェクトに対する意義を感じました。

今後、採択校には希望するSTEAM教材を無償提供し、2025年度末まで約1年半、STEAM教材を使った授業を行っていただきます。


みんなのコードでは授業やSTEAM教材に関する質問・相談を随時受け付けながら、先生方のサポートを行っていきます。各学校の実践レポートなども、お伝えしていきますのでお楽しみに!


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