小学校を中心とした研修・実証研究を担当している未来の学び探究部の竹谷です。みんなのコードでは、小学校女性教員向けのプログラミング教育研修「SteP」を提供しています。
※参考記事:小学校の女性教員向け・プログラミング教育の養成プログラム「SteP3期生」募集開始
現場で女性の先生方がプログラミング授業の実践を応援する SteP も回を重ねて3期目を迎えました。これまでに受講した先生方に講師を担当していただくなど、コミュニティとしても着実に成長してきています。
3期の募集には27名が応募。その第1回となる夏の研修は、先生方がプログラミング教育に取り組む自信をもつきっかけとなることをねらいとして、開催しました。
その当日について、熱気あふれる現場の様子をお伝えします!
暑さに負けず、元気にスタート!
8月14日、この日も非常に暑い中、神田駅近くの会場に続々と小学校の女性の先生方が集まってきました。会場に来られない方のため、オンライン参加も組み合わせたハイブリッド開催で研修がスタートしました。今回の研修は、楽しい体験を中心に計画しました。また、講演も広島県で教育改革に取り組まれた前広島県教育長の平川理恵さんにお話しいただくことで、新しいチャレンジに踏み出す元気をいただけるはず、と思って企画しました。
楽しい!これならできそう!
最初の挨拶は手短にすませ、さっそく運営メンバーの浅村先生による「Kahoot!」でのアイスブレイク。すぐに「へえ〜」「そんなこともできるんだ!」と会場の雰囲気は一気に盛り上がりました。
場も温まったところでプログラミング体験会へ。
会場では TfabWorks の高松さんを講師に、AkaDako を使った課題解決の研修に取り組みました。AkaDako はいろいろなセンサーや LED 、スイッチなどが一体になったプログラミング教材です。授業で使いやすいことを第一に開発され学校現場で広く使われている Scratch と連動して動作させることができます。初めは不安そうだった先生方の表情が、みるみるうちに生き生きとしてきました。
「できた!」「すごい!」という歓声が会場のあちこちから聞こえ、まるで教室が子どもたちでいっぱいになったかのような楽しい雰囲気に。
オンラインでは私が講師となり、 CS First の研修を進めました。 Google Classroom と連携させて、ガイド付きの画面で Scratch の基本操作を子どもたちが自分で学習できる教材です。オンラインでの操作を伴う研修は、参加者の状態が把握しにくいのでなかなか難しいのですが、優れた教材のおかげで、先生方は大きくつまずくことなく取り組めたようです。
参加者からは
「プログラミングのソフトを初めて体験させていただきました。児童が興味を持ち、しっかり考えながら楽しく創作する様子が想像できました。何より私自身が一番楽しみました」
「akadakoはプログラミングが苦手と思っている子どもたちにとっても、可愛い素材で、絶対にやろうと思いました」
という声を聞くことができました。
力のある言葉に、背中を押される
午後からは、前広島県教育長の平川理恵さんに講演いただきました。教育現場でのデジタル化の重要性や、それに伴う課題について、豊富な経験に基づいたお話に、参加者の先生方は聞き入っていました。
「新しいことを始めるのは怖いけれど、子どもたちのためになると信じて一歩踏み出す勇気が大切」という言葉に、多くの先生方が深くうなずいていました。
参加者からは
「平川先生の大ファンになりました!あの行動力!あの人間力!!めっちゃ憧れの存在です!本当に最高の講演でした」
「エネルギー溢れる内容で、大変刺激を受けました」
「2学期から自由進度学習に挑戦しようと思っていたので、勇気をもらえました」
など、多くの先生方が講演から新たな挑戦への意欲を得たようです。
もっともっと体験!
講演後もさらに体験会は続きます。運営メンバーの浅村先生による「ピクトグラミング」、田中先生による「ドット絵プログラミング」の二手に分かれて、それぞれまた楽しいワークショップの時間となりました。
浅村先生のコメント:
「ピクトグラミング」のワークショップでは、オリジナルのピクトグラムを使ったポスターを作りました。ピクトッチは、ピクトグラムを使用してプログラミングの概念を学ぶことができる統合型アプリケーションです。ブロックを組み立てていくことで思うようなポーズにすることができ、PNGやGIFで作品をダウンロードすることができます。ピクトッチを触るのは初めてという人ばかりでしたが、全員がピクトグラムのポーズに合わせた言葉を入れ、動きのあるユニークなポスターを仕上げることができました。「楽しい!」「授業でやってみたい。」という声が聞かれました。
田中先生のコメント:
「ドット絵プログラミング」のワークショップでは、参加した先生方がニコニコの笑顔で楽しみながら、Scratch用のスプライトを作成しました。ただお絵かきをするのではなく、コンピュータサイエンスの視点も取り入れながらの活動をしました。ドット絵が完成したら、Scratchコーディングカードを使用して各自ゲーム制作。あまりScratchに自信のない先生でも、コーディングカードを使用することで簡単にゲーム制作ができました。ドット絵に力を入れる先生もいれば、ゲーム制作や背景に力を入れる先生もいて、それぞれの想いを自由に創造していました。「2学期にさっそく授業を行いたい!」という声も多かったです。
前に進もう!という声、続々
研修後のアンケートでは、なんと95%の方が「大変満足」と回答! 多くの先生方から前向きな感想をいただきました。
「プログラミングの方法が分かり、またそれをどんな目的を持って授業に組み込むかを想像することができた。すぐにやってみたいと思いました」
「知らなかったことをたくさん教えていただきました。とても楽しい時間を過ごしました」
「毎回新しい知見や実践を学べて、また新しいネットワーキングもできてとても楽しいです」
「これが無料ってすごい!平川さんのお話もとてもよかったし、楽しかったです」
オンライン参加の方からも
「プログラミングを体験するコンテンツがいくつも盛り込まれており、とても勉強になりました。とくに後半のグループワークでは、ピクトグラムづくりをするだけではなく他の参加者とコメントで交流できたことが嬉しかったです!」
という声が寄せられました。
これからが本番!
今回の夏の研修は終わりましたが、ここからが本当の始まりです。2学期以降、先生方が実際の授業でプログラミング教育を実践されるにあたり、 SteP では継続的なサポートを行っていく予定です。
ある先生からは、「こうした、背中を押してもらえる場所があることが、若い先生方にもとても力強い存在だと思うので、続けて欲しい」というご意見もいただきました。
女性の先生方の活躍で、日本の教育がますます進化していくことを期待しています。これからも、StePの活動にご注目ください!