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情報教育の未来を創る:14カ国が集結した日本発の国際カンファレンス

〜Asia Pacific Computer Education Conference①〜

こんにちは、みんなのコード代表の利根川です。みんなのコードは日本国内で情報教育の普及を推進しているNPOです。2024年11月20日から11月23日まで「Asia Pacific Computer Education Conference」と題し、14か国から32名の海外ゲストを迎え、情報教育の未来について議論する国際カンファレンスを開催しました。

全3回にわたり、国際カンファレンスの様子をご紹介していきます!

なぜ開催したの?

2023年11月、コロナ禍以来久しぶりにアメリカで開催された、Code.orgが主催する国際的なコンピューターサイエンス教育に関する会議CSEdConに参加しました。その時の記事はぜひ、こちらからご覧ください。

会議に参加していく中で、「アジア・非英語圏における情報教育には共通の課題や特徴があるのではないか?」という話題で、アジア諸国の参加者たちが盛り上がりました。例えば、英語圏の人が「Pythonは簡単だよね」と言っても非英語圏の私たちにはあまり実感が湧かない、といった話や、逆に「公教育の安定度はアジアの方が高い」といった話が上がりました。

また、私自身、昨年久しぶりにCSEdConに参加し、日本の状況を客観的に振り返る中で、AIを含む情報教育やGIGAスクール構想など、日本の取り組みが世界的に見ても非常に先進的であることを改めて認識しました。

そこで、「アジアの国々に対して何か貢献できることはないか?」と考え、日本の情報教育を実際に知ってもらう機会を提供したいという思いから、国際カンファレンスを開催することを決意しました。2024年の年明けから本格的にプロジェクトをスタートし、半年間の準備を経て、この会議を実現することができました。

どんな人が会議に来たの?

今回の会議には、アジア域内10か国から24名、地域外から4か国8名、合計32名のゲストが参加しました。地域外の参加者には、運営協力をいただいたCode.orgや基調講演を務めたOECDなどの関係者が含まれます。参加者の内訳としては、政府関係者10名、NPOやインパクトスタートアップ20名、企業(CSR的ポジション)1名、国際機関1名という多様な顔ぶれでした。

始まるまでの大変さ

みんなのコードでは、2019年にも海外ゲストを迎えたイベントを開催しましたが、その時のノウハウはほぼ忘却の彼方にありました。今回の国際カンファレンスは、人数規模が2倍、日程は4倍というスケールアップに加え、並行して、予算確保のためにスポンサー営業も行うという、非常にハードなスタートでした。。

さらに、日本国内にいると見落としがちですが、来日に際してビザの申請が必要なゲストも多く、まだ直接会ったことのない参加者も少なくありませんでした。文化の異なる方々と、主にメールでやり取りを行う中で、みんなのコードのプロジェクトメンバーには大きな負荷がかかりました。そんな中でも、不満をほとんどいわず、プロジェクトを進めてくれた仲間には頭が上がりません。

また、プロジェクトの進め方で悩んだときに、昨年以前から一緒していた仲間(Code.org , Micro:bit財団, インドネシア, 韓国)は、急に電話しても喜んで相談に乗ってくれ、私の背中を力強く押してくれました。多くの関わってくれた人がいたから、今回の国際カンファレンスを成功することができました。

いよいよカンファレンススタート!

カンファレンス1日目はウェルカムディナーだけだったのですが、長い1日となりました。まずは、今回多大な協力をしてくれたCode.orgのみなさんと文部科学省初等中等教育局 学校情報基盤・教材課の寺島課長を訪問しました。

私自身、現在初等中等教育段階における生成AIの利活用に関する検討会議の委員を務めていますが、この訪問では、Code.orgから提供された最新の生成AIを含む情報教育における動向や取り組みに関する情報を共有いただき、1時間があっという間に過ぎるほど、充実した意見交換の時間となりました。

さらに、今回のカンファレンスではインドからの参加者が多かったこともあり、Code.orgとインドの4つのNPOによるオフサイトミーティングが四谷で開催され、私も同席させていただきました。インドの情報教育における課題や連携の方向性について、非常に興味深い議論が展開されました。

午後になるとその他の各国からも参加者が三々五々集合し、初日は全員でウェルカムディナー。初対面の人も多く、最初はゲストのみなさんも余所余所しさがあったのですが、お開きになる頃にはあっという間に打ち解けて、全体として非常に盛り上がり、一部の参加者は「渋谷に行くぞー」となり結びとなりました笑。

2日目からの学校視察は次の記事で紹介します。


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