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みんなのコードマガジン

活動レポートをお届けするウェブマガジン

バイブコーディングが拓く、プログラミング授業の「楽しさ駆動」の可能性

〜みんなのコードサポーター 高校の先生から届いた授業レポート〜

こんにちは。みんなのコード永野です。私は主に高等学校の情報教育に関わる先生方の研修等を担当しています。

2025年、みんなのコードは10周年を迎え、昨年10月にはご支援をいただいているサポーターのみなさまをお招きしMeet upを開催しました。このイベントについては別途Magazineとして公開していますのでぜひご覧ください。

おかげさまで10周年!みんなのコード サポーター限定イベント「Meetup 2025」

このイベントでは、私は「バイブコーディングを体験しよう」というセッションを担当しました。親子でご参加いただいたサポーターの方もいて、子どもから大人まで、生成AIを使った新しいプログラミング体験「バイブコーディング」を大いに楽しんでいただきました。

サポーターの中には、学校の先生方も多くいらっしゃいます。岡山県の岡崎則武先生も「Meetup2025」にご参加いただき、これがきっかけで実際に高等学校でバイブコーディングの授業を行ったそうです。この授業について岡崎先生より素晴らしいレポートをご寄稿いただきましたので、ぜひMagazineでご紹介させてください。


2025.10.31 に開催された「みんなのコード オンライン Meetup2025」に参加して「バイブコーディングおもしろそう」と思ったので、わたしが担当する高校2年(情報科システム系15人)の授業でやってみました。
この生徒さんたちは同年3月に Google Colab 上で生成AIを利用してプログラミングをやってみたことがあったそうですが、そのときは自分たちでプログラムを作ることまではなかったようです。
今回は、YouTube のバイブコーディング紹介動画と、どんな作品があるかネット検索してもらいました。これを含め、教師側からの説明は最初の 20 分ほど。その後、生徒さんたちのバイブコーディングは、20 分ほどが2回、そして45 分まるまるが1回で、合計 100 分ほどの制作時間(各自で自主的に取り組んだ時間は含まず)です。
2/16 に生徒発表会を行い、各自の作った作品について一人1〜2分で発表してもらいました。何を作っても良いことにしていましたが、全員がゲームをつくっていました。

授業を終えて

発表会後に、「バイブコーディング、楽しかった人?」と聞くと全員が手を挙げた。「事前に自分が思っていたよりも、うまくできたと思う人?」についても全員が手を挙げた。「バイブコーディングの限界もわかったという人?」という質問については5人が手を挙げた。


通常の(C や Python の)プログラミング学習に比べて、バイブコーディングの良いところは「楽しくて夢中になる」ということにあると思う。自分の時間を使って、ついつい改良してしまう。これまでの言語系の学習では、1年学んでも1割くらいの生徒しか簡単なプログラムを自分で書けるようにならず、大量のプログラミング嫌いを生み出してしまっていた。バイブコーディングは、「まず楽しさありき」で、ゴールから逆をたどって基礎を学ぼうかという意欲づけにつながるところが新しい時代の教育にふさわしいと感じる。


ちょうど先週、日本科学未来館のトークセッションで落合陽一さんの話を聞く機会があり、そこで「これから何を教えたらいいんですか?」と聞いたところ、「ひたすらバイブコーディングでしょう」と言い切っておられた。(他のメンバーは、手を動かす:3D プリンタとか、“土”:自然と触れ合う、などと言っておられた)
その話を生徒さんに伝えたところ、数人の生徒さんは「え?落合陽一!?」と顔を見合わせて驚いていた。

いま2年生の彼らは、3年になると実習や課題研究に取り組むことになるが「自分でシステム、ソフトが作れる」という経験は非常に大きな武器になると思う。一気に問題解決能力が高まるだろうと予想される。

それは情報科だけでなく、誰もがきっとそうなのだ。「楽しさ駆動で動く」機会は、全員に開かれている。
「とりあえず、楽しいことから始めよ」。それを実感したバイブコーディングだった。

「ちょうど時代の変わり目に、最新のテクノロジーに触れることができて、みんな超ラッキーだよ」と言ったところで最後の授業が終わった。

授業後の生徒さんたちの感想

「今日は、発表をしてまだ改善点が見つかる中での発表でした。自分の中ではもっとよくできるところもあったし細かい部分まで気にしてゲームをしてみるともっと良くすればさらに良いゲームができるなと思いました。他のみんなもいいゲームが作れていていいなと思いました。バイブコーディングは楽しかったし、いい経験になったと思います。次にまた機会があれば今回よりも良いものを目指したいです。」


「みんな創意工夫して面白そうなゲームを作っていてすごいなと思った。自分も実際にやってみたいなと思うものが何個かあった。自分の作ったものを発表する時にわかりやすく魅力を伝えることができなかったのでできるようにしていく。」

「自分はプログラミングなどあまり得意ではなく、最初はゲームなんて作れるのだろうかと思っていたが、バイブコーディングを行うことで自分のやりたいことなどを AI が実現してくれ、それにより自分の活動の幅も広がり自由度も高いので制作する過程でもとても楽しめた。実際に出来上がったゲームをプレイしたときは思ったよりしっかりとしたゲームに仕上がっていて自分でもびっくりした。またこれからも追加したい要素などがあったら追加していきたいです。」

「できたことは、ほとんど忠実にレースゲームの再現ができたことでアイテムや、コースから落ちたら釣り上げられたりする要素を入れられたので良かったです。できなかったことはアイテムをもっと取りやすくするのと、相手を妨害するようなアイテムがなかったことと、 Gemini にCPUを強くしてと何回言ってもなかなか競り合えるような展開にできなかったことです。今後は、他にも好きなゲームがあるのでそれらをバイブコーディングでChromebookでもできるようにしてみたいと思います。」

「生成 AI を使うことによって今の自分たちではできないゲームのプログラムを組むことを任せて自分の作りたいゲームやその改善点を上げることでとてもできの良いゲームを作ることができるということが分かった。そして、自分の作ったゲームが楽しかったので、もっと作りたいのともっとクオリティが高いものを作れるように試行錯誤して友達と一緒にゲームを楽しみたいと思った。」

「バイブコーディングの授業で、ゲームやアプリの開発者側の視点に立ってみて気づいたことは、思った通りには全然プログラムは動いてくれないということだった。また、クリアできないバグだったりそもそも動かないバグだったりと修正点を見つけていくたびに、バイブコーディングの楽しさがどんどん増えてきたと思う。」

「やり始めたときはバイブコーディングで何かを作成することはできるのか不安だらけだったけど、少しずつやるにつれてなんとなく形にすることができるようになった。自分は落ちものパズルゲームを作ろうと思って、はじめは敵がいなかったりしてなんにも要素がなかったけど、お邪魔ブロックを作ったり、スコアや次に落ちてくるブロックを見れるようにした。連鎖機能も簡素だけど入れることができるようになった。今作ったやつよりさらに音や二人対戦なども実装していけたら良いと思った。このバイブコーディングをやってすこし限界も感じた。一番良いのは自分でプログラミングを打てるようにして作成するべきだと感じた。」

「できたことに関しては、自分の夢であった「3D に触れてみる」ということである。3D に携わる機会は無いと感じていたので、ChatGPT や GoogleGemini を使って HTML でコードを作成して、自分がどんなモデルにしたいのか要望を伝えていって実現できたのがとても嬉しかった。また、3D の制作は多くのものに判定をつけなければならないので 3D の複雑さを理解した。今回は考えるのが一人だけだったため、理想的なものの完成には至らなかったが、自分の成長はとても感じた。(AI の限界。AI にはこんな欠点がある。 自分の理想を相手にうまく伝える方法 etc.)バイブコーディング、プライベートで少し触ってみようかなという興味も湧いた。」

「世界を冒険するアクションゲームを作ることができたが、自分が作りたかったランダム生成の無限ダンジョンや、クラフトシステム・武器のシステムまでは作ることができなかったので、日々時間があったら生成させて、より良いものを作っていきたい。」

「はじめはカーレースゲームを作ろうと思ったが、操作が難しく、デザインをリアルにしたかったが指示がうまくいかずできなかったため、小学生でも簡単にできる直感的な操作のゲームに改良し、有名なゲームを例として挙げたところ、デザインが大幅に改善した。初期のものには時速の表示、ハンドルの表示、ギアチェンジ、レーンから落ちたときのゲームオーバー判定などがついていたが、レースゲームをやめたのでそれらをなくし操作をより簡単にした。AI に対しての指示が下手くそで試行錯誤を何度も繰り返したので指示をもう少し工夫する必要があったと思う。他の人の発表を見ると、精巧に作り込まれていてすごいなと思った。ガチャがついていたり、レベルアップしたり細かく作られていてどのような指示をしたらそんなにつくれるのか気になった。何がゲームとして面白いのかもう少し考える必要があったと思った。」

「今までやってきていろんなことに手こずったけど最後には最高のものになってよかったです。発表のときには締切に間に合うことができなくてしょぼいゲームみたいだったけど攻撃方法やジャンプができるようにしました。また今まででは必殺技、攻撃方法、キャラクター選択、オンラインプレイ、オフラインプレイやできるだけ人間に近づけてほしいなどを頼んでみましたが、キャラクターが画面外にいたり、どれか一つは出来てもほかができなくなるということが今まででたくさんありました。なので、棒人間でもいいのでジャンプや必殺技を増やしてほしいと頼んだり、その後に瞬間移動などを増やしてほしいと頼んだら自分が望んでいたものになりました。まだまだいろんなものを作りたいと思います。この授業で作ったものを友達などにプレイしてもらいたいと思います。」

「最初はキャラクターが一つしかなく、10人でのバトルロワイアルのはずが 9対自分といった事になっていたから、そこを 10人が一斉に戦うようにしたのとキャラクターを4つに増やし、体力にも差をつけた。また、今回一番難しかったのがキャラクターのエイムがとても難しくて、キーを長押ししてエイム戦を出させようとしたら逆に動かなくなったりとそこが一番苦戦した。今のままだと、まだ完成してなくて、バトルロワイアルの中にアイテム(攻撃力があがったり、防御力が上がったり、体力が増えるようにするもの)を追加する。より楽しめるようにトロフィーを追加しようと思う。」


「誰もがテクノロジーを創造的に楽しむ」授業

いかがでしょうか。生徒さんたちがバイブコーディングを楽しみ、そして自分たちのイメージを完成形に向けて試行錯誤している様子がありありと伝わってきます。

私は岡崎先生の書かれていた

自分でシステム、ソフトが作れるという経験は、大きな武器になる。それは誰もがきっとそうなのだ。楽しさ駆動で動く機会はみんなに開かれている。

という最後の一節が特に印象に残りました。

生成AIというテクノロジーによって、誰もが「楽しみながら、自分たちの思い描くものを表現できる」ようになったのです。これからもプログラミング教育が大事なことには変わりありません。これからどんどん「まず、動かす楽しさを感じる」ことは子どもたちにとって素晴らしい体験になるはずです。そして、プログラミングの学び方もこれまでとは大きく変わっていくことになるでしょう。

このことは、私たちの「誰もがテクノロジーを創造的に楽しむ国にする」というビジョンそのもののように思えます。

岡崎先生の授業から、これからの社会での「人とプログラミングの関わり方」が大きく変化していく流れを感じとることができました。

岡崎先生、素晴らしいレポートをありがとうございました。

過去にみんなのコードが高校でバイブコーディングの授業をした時のレポートはこちらです。

高校の授業でVibeコーディングをやってみた
〜前編〜  〜後編〜

私たちはこれからも全国の学校現場に、プログラミングや生成AIをはじめとした情報教育に関わるご支援をしてまいります。高等学校での「生成AI」や「バイブコーディング」の教員研修などにご興味がありましたら、ぜひみんなのコードまでご連絡ください。

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