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メンバーズキャリア × みんなのコード「オンライン職業体験プロジェクト」実施レポート

 “持続可能な社会に向けたデジタルイノベーション創造を「人の力」で支える”をミッションに、数多くのIT関連企業にデジタルプロフェッショナル人材を提供している株式会社メンバーズキャリアカンパニー(以下メンバーズキャリア)。メンバーズキャリアは、未来のクリエイターに向けた社会貢献を積極的に行っています。

 今回は、メンバーズキャリアと、“子どもたちがデジタルの価値創造者となることで、次の世界を創っていく”をミッションに、全国でコンピュータサイエンス教育の普及を行うみんなのコードが、愛知県の公立中学校の「総合的な活動の時間」において実施した「オンライン職業体験プロジェクト(全11時間)」についてご紹介します。

 なお、本授業では日本マイクロソフト株式会社の協力の元、同社のハイブリットタブレットコンピュータ「Surface book」を20台・モバイルルーターを10台ASUS JAPAN株式会社から「chromebook C214MA」を20台、アバー・インフォメーション株式会社のCC30を3台、CAM340を1台、VC520を1台、生徒のワークシートを映すためにM15W、M11-8MV アバーメディア・テクノロジーズ株式会社から「キャプチャーデバイスBU110」を活用しました。

従来の「職業体験」が中止!急遽オンラインに

 愛知県尾張地方の北部、岐阜県との県境となる木曽川の南に面する「江南市」。ベッドタウンに位置する江南市立西部中学校は、ICT機器を積極的に活用した授業に挑戦している学校です。

 今回の授業をリードした同中学校の岩田智文先生(MIE fellow)は、「オンライン職業体験プロジェクト」を実施した背景について、次のように説明します。

“本校では、2年生を対象に身近な職業を知る目的で「職業体験活動」を行っています。例年秋になると、市役所、保育園、消防署、地元の飲食店、スポーツ洋品店などに協力いただき、3日間に渡り職業体験を行います。この体験はこれから3年生に進級し進路を考える上で、非常に重要な行事でした。しかし、本年は全国的な新型コロナウイルス感染症の影響を受け、中止にせざるを得なかったのです。キャリアをしっかりと考える機会として代替となる活動を模索していた中で、みんなのコードから「オンラインで職業体験をしませんか?」とお声がけいただき、コロナ禍での活動にピッタリだと考え「総合的な活動の時間」の全11時間を使って取り組むことにしました。”

 実際の授業での印象について、岩田先生は、“いざ始めてみると、ネット環境や機材のトラブルもあり、なかなか思い通りにいかないこともありました。本校の教員やみんなのコード、メンバーズキャリアとも話し合い、次の授業ではより良いものにしていこうとブラッシュアップしていきました。皆さんのご協力のおかげで、毎回授業のレベルアップを肌で感じることができました。私たちよりも、むしろ生徒の順応が早く、チャットやビデオ通話でアドバイスをもらいながら、作品を完成させていくことができ、教員陣の想像を超える作品が続出し、実り多い活動となりました。”

インタビュー・考える・発表の3ステップで職業体験

 全11時間の授業は、「オンライン職業インタビュー」「私のキャリア x TECHを考える」「テクノロジーをつかった仕事を再現・発表」の3つのステップで進めていきました。

仕事を知る「オンライン職業インタビュー」(全1時間)

  メンバーズキャリアのクリエイター3名が、オンラインで授業に参加し、「実際の仕事内容」「この仕事につくまでの道のり」「中学生へのメッセージ」等を紹介しました。

 質疑応答では、「中学生の時にやっておけばよかったと思うことは何か?」「学生から社会人になって考え方が変わったか?」「今後、機械化が進む中で人間がやっておくと良いことは?」など、鋭い質問が多数寄せられ、クリエイターからの熱いメッセージとともに回答しました。

私のキャリア x TECHを考える(全2時間)

 生徒の皆さんが、「自分が将来つきたい職業につくには、どのような課題に向き合う必要があるのか」「10年後どのようにその課題を乗り越えるのか」を考える時間を設定しました。オリジナルの「職業マニュアル」や「ワークシート」を使って考えていきました。

 また、ビジュアルプログラミング教材「Scratch」を使いながら、「テクノロジーを使って解決できそうな部分はどこか」「解決するためにはどういったプログラムを作る必要があるか」までを設計図に落とし込みました。例えば、市役所をテーマにした生徒たちは人材不足を解消するためのチャットボット、飲食店の注文タブレット、保育園の子ども用の教材、スポーツ洋品店のスポーツ普及用のアニメーションの作成など、より具体的なプランが飛び交いました。

テクノロジーをつかった仕事を再現・発表(全6時間)

 ステップ2で考えた設計図を元に、実際にプログラミングを実施し仕事を再現していきました。「Scratch」の使い方や、「実現させたいプログラムを作るにはどうしたら良いか」といったことについて、チャットやオンラインツールを活用して、メンバーズキャリアのクリエイターの方に相談しながら実装していきました。

 最後はグループ(全31グループ、1クラス7〜8班)ごとに発表。「どういった課題を解決するためのプログラムなのか」「課題を解決するために工夫した点はどこか」などを、発表し合いました。

生徒の作品の一部

https://scratch.mit.edu/projects/450754203
https://scratch.mit.edu/projects/450337250
https://scratch.mit.edu/projects/450328731

全11回の授業を振り返って

 今回授業に参加した生徒からは、以下のような声が寄せられました。

“私はデザイナーについて調べましたが、デザインも時代と共にどんどんどん機械化・デジタル化が進んでいることを知りました。でもお客さんの心を考えて考えてデザインするということは人間にしか出来ないことだと気づけました。機械が苦手だったけど、今回の取り組みを通して上手く付き合っていきたいと思った。”

“Scratchを通して、失敗しても次に活かすことは大切だと気づきました。”

“健康促進の番組CM制作をしたが、キャラクターの動きを座標を使って動かしたり音を鳴らしたりして上手にプログラミングして作品を作ることができました。”

岩田先生は、以下のような声をいただきました。

“これまで一緒に取り組んできた、社会人の皆さんからの最後の挨拶が終わると、一部の生徒の顔には寂しそうな表情も。オンラインで外部の大人たちと生徒との関係がここまで築けるとは想像しておらず、あらためてご協力いただいた皆様には非常に感謝しています。また、本プロジェクトを通して、本校の教員のICTスキルも向上につながったと感じました。コロナ禍における特別な活動ではありましたが、今後はこうしたオンラインでの活動がニューノーマルになる日が近いと感じました。”

 メンバーズキャリアのクリエイターからは、以下のような声が寄せられました。

“初の公立中学校とのコラボ、初のフルリモートの企画で苦戦することもありましたが、参加したクリエイターが前向きにやりきってくれました。”

“新卒が子供たちに親切丁寧に教えている姿は誇らしく、意外な一面も見れました。大きく成長したのではないかと思います。このような企画があったらまた参加したいという意見もあり、今後もこどもたちにデザインやプログラミングを教える取り組みは継続していきたいと思います。”

実施概要

期間:2020年10月20日〜12月1日(「総合的な活動の時間」全11時間)
対象:愛知県・江南市立西部中学校の2年生(120名)・先生(5名)
実施協力:株式会社メンバーズ メンバーズキャリアカンパニー(23名)
特定非営利活動法人みんなのコード(3名)
機材協力:日本マイクロソフト株式会社
アバー・インフォメーション株式会社
アバーメディア・テクノロジーズ株式会社
ASUS JAPAN株式会社         

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