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みんなのコードマガジン

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PwC Japanグループ × みんなのコード「オンライン職業体験プロジェクト」実施レポート

 2020年3月、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、全国の学校で一斉休校が始まり、みんなのコードが全国で実施予定だった各種ワークショップも中止にせざるを得ない状況となりました。6月を迎えると学校の授業は再開されたものの、授業の遅れを取り戻すために、「体験学習」や「学校行事」などが少なくなる学校が多くなりました。また、通常であれば中学2年生で行われる「職場体験」は、感染予防の観点からほとんどの学校で中止や延期の決定がなされました。

 そのような中で、みんなのコードは「With/Afterコロナ時代の新たな職業体験」を提供するべくPwC Japanグループ(以下、PwC Japan)と協力し「オンライン職業体験プロジェクト」を実施しました。

 今回、私たちが重視したのは、ただ単に既存の学校行事をオンライン化するのではなく、“オンラインであるからこそ働くことの意義や社会経験を十分に感じられる機会を提供”すること。そして、多くの子どもたちに、“テクノロジーに関する知識はこれからの「未来の教養」である”ことを、わかりやすく体感してもらうことを大切にしました。

◎本イベントレポートは、PwC Japanからも公開されています。合わせてご覧ください。
https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/corporate-responsibility/our-stories/future-work2101.html

 今回の舞台となったのは、鳥取県岩美町の町立岩美中学校(対象は2年生84名)と埼玉県さいたま市の市立本太中学校(対象は1年生236名)。岩美中学校の教育目標は「みずから学び みずから鍛え みんなと生きる」を体現する生徒の育成。本太中学校の教育目標は「未来へ よりよく 生きる」。どちらの学校も、これからの答えのないと言われる社会の中で、“将来の生き方を主体的に考え学びつづけていく生徒の育成”を大切にしている公立の学校です。

 今回の授業では、クラス関係なく学年の中で混合となり、自分自身が興味のある職業ごとに4-5名が1つの班となり集まりました。各教室にはPCとオンラインツールを設置。そこに、普段は企業や自治体向けにコンサルティングを行う、各業界に精通したPwC Japanのスタッフがオンラインツールを駆使しながら、自宅、オフィス、学校とさまざまな場所から参加しました。

 まず、授業の冒頭では、PwC Japanのスタッフから「未来の仕事を考えるためのヒント」として、今の世の中で起こっているデジタル化の加速について紹介。“これからの答えのない未来を生き抜くために、どのような力を身につければいいのか”を説明しました。その後は、スポーツ関係、医療従事者、エンターテイナー・アーティスト、教育関係、小売関係、サービス、製造業の7つの分野の班にわかれて授業を進行していきました。

 今回の企画では、ただ単に自分自身の興味のある職業についての理解を深めるだけでなく、その職業が「未来ではどのような役割になっていくのか」、そこに「テクノロジーを掛け合わすことでどのように変わっていくのか」。その結果「社会に対してどのような貢献ができるのか」ということを中学生たちが自ら考え、チーム内で議論し、学びを深めるように設計しました。

 生徒たちは、PwC Japanのスタッフのファシリテーションのもと、職業とテクノロジー双方への理解を深めるとともに、付箋と模造紙を使ってどんどんアイディアを発散し、そして自分たちの考える「未来の職業」を形にしていきました。ワークショップ終了後には、全員で「未来の職業」を発表し合い、意見交換が行われました。

 今回、実際の授業に参加した、2校の生徒の皆さんからは、次のような感想をいただきました。

  • 今日考えたことが未来の仕事になっているかもしれない。未来が楽しみ。自分達でアイデアをだして、未来の道具を創っていくことが大切だと思った。
  • この体験を通して、未来に向かっていこうと思った。
  • 目標を見つけることができ、高校に行く理由を見つけられた。
  • 一つの分野にも、さまざまな職業が関わっていることがわかった。そこにテクノロジーが加わると、新しい職業が誕生することもわかった。
  • 仲間と一緒にたくさんのアイディアをだすことができてよかった。どんな仕事があるのかを知れて、自分の未来をどうしたいのか、考えるいいきっかけとなった。
  • 今ある職業だけでなく、自分達が発想した新しい仕事が未来の社会に誕生したらどんな風になるのか想像しながら学べたので、とても楽しかった。

 今回、本プロジェクトの企画・コーディネートを担当した、NPO法人みんなのコードパートナー事業部の釜野 由里佳は次のように述べています。

「2020年度は、コロナ渦という環境の中での初の試みだったオンライン職業体験でしたが、企業と学校をオンラインでつなぎ、“子どもたちの新たな可能性を広げる方法の一つを見つけられたのではないか”と思いました。また、首都圏の子どもたちだけでなく、かそこから離れた埼玉県と鳥取県で開催できたのもの大きな収穫でした。今後も、オンラインというメリットを最大限に活かし、地域関係なくこのような取り組みを進めていきたいと思います」

 今後もみんなのコードは、“子どもたちがデジタルの価値創造者となることで、次の世界を創っていく”をミッションに、企業や団体の皆様とともに、全国の学校現場で、テクノロジー教育の普及を強力に推進していきます。

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