Magazine

みんなのコードマガジン

活動レポートをお届けするウェブマガジン

プログラミング教育必修化の本質を考えるシンポジウム~開催レポート

一般社団法人みんなのコードは、
2016年8月27日(土)にプログラミング教育必修化の本質を考えるシンポジウムを開催いたしました。

開催実績

実施会場:株式会社リクルートテクノロジーズ本社
参加者(教職員、教育委員会、関係企業等):102名

開催レポート

当日のアジェンダ

第1部 文部科学省 有識者会議の”議論の取りまとめ”を深読み
第2部 先行実践校教員の生の声を聞く
第3部 実際に教材を触ってみる
第4部 授業での実践を考える

第1部 文部科学省 有識者会議の”議論の取りまとめ”を深読み

・一般社団法人みんなのコード 代表理事 利根川 裕太
「プログラミング教育についての有識者会議の議論の取りまとめを解説」当日発表スライド(利根川)
・茨城県古河市教育委員会指導課長 平井 聡一郎 様
「取りまとめと茨城県古河市での実践について」

の講演があり、訪れた教職員等の方には熱心に聞いていただきました。

 講演では、代表の利根川より2020年度のプログラミング必修化について「必修化の背景」、「会議での議論の中身」、「取りまとめの結論」、「現場でやるべきこと」を読み解きました。
これからの現場に求められるのは「まずやってみる・試してみる」ことだという利根川の言葉に、頷いている参加者が多かったです。
また、講演のあとの質問タイムでは、有識者会議での詳しい議題や自治体での各学年に対する目標設定など、鋭い質問が出ていました。

第2部 先行実践校教員の生の声を聞く

 みんなのコードが主催しているイベント「Hour of Code夏休み全国100校1万人プログラミング」で、プログラミング授業を実践していただいた先生方からお話を伺いました。

登壇発表者:

茨城県古河市立中央小学校校長 比企 明郎 様
石川県加賀市立作見小学校教諭 山井 聡 様
東京都杉並区立第四小学校教諭 栗山 崇志 様
学校法人神奈川学園精華小学校教諭 綿引 一夫 様
モデレーター:
一般社団法人みんなのコード 代表理事 利根川 裕太

比企校長

 「プログラミング教育は、古河市教育委員会から推進していただいて実施したが、児童の満足度が非常に高かった。ただ、子どもたちの感想には『楽しかった』という感想が多く、そこで留まらないようにするためには、職員研修が必要だと感じた。」

山井教諭

 「2020年度からのプログラミング教育が必修化されることを知らない状態から指導者研修を受けたが、基礎知識のほとんど無い私でも理解することができた。プログラミング的思考の重要性・必要性を感じ、指導者育成やハード面の整備などの課題も浮かび上がってきた」

栗山教諭

 「東京で暮らし、コンピュータの利便性について理解している児童が多いが、逆にもしコンピュータが機能しなかったらという場合の経験が乏しい。プログラミング教育を通じてコンピュータへの理解が深まるのは、非常に有意義であると感じた。」

綿引教諭

 「保護者から『どのようなプログラミング教育を行っているか』という質問が多く、プログラミングは避けては通れなくなっている。最終的にプログラムは英語で書くものなので、最初から英語で教えることに違和感はないが、最低でも指導者がクラスに2名は必要だと考える。」

 どんな準備をしてどのように授業を進めるのか、また、今後の課題など、実際に行った先生方だからこそのご意見に、会場の参加者は興味津々でした。

第3部 実際に教材を触ってみる

授業で取り扱うプログラミング教材の中から4つを、参加者の皆様に体験していただきました。

Hour of Code:小学1年生から実施できる教材で、画面上のブロックを組み合わせることでプログラミングを体験できます。 アナと雪の女王やスター・ウォーズなどのおなじみのキャラクターたちと一緒に学習できることも魅力のひとつです。 ドリル型で子どもたちが自主的に取り組むことができ、自分でゲームを作るコースもあります。

LEGO WeDo 2.0(レゴ ウィードゥー 2.0):モーターを備えたプログラムが組み込めるブロックや、センサー、レゴブロック、タイヤと言った部品を組み合わせたロボットです。画面の中ではなく、実際に目の前のモノを自分で作ったプログラムによって動かせるということを体験できることが特徴です。

Code Monkey:プログラミング教育において最先進国であるイスラエルの全小中学校で導入されている教材です。 他の教材と違って、ブロックではなく、CoffeeScript(コーヒースクリプト)という言語を使ってプログラミングを体験することができます。先生たちの指導なしでも、子どもたちが直感的に現場で使えるプログラミング言語を学べるということが特徴です。

ルビィのぼうけん:絵本をもとにした教材で、プログラミングの考え方をコンピュータを使わずに学ぶことができます。 キーボードやマウスの操作がわからない小さなお子様にも、ものごとを論理立てて考えるという、プログラミング的思考を体験していただけます。ルビィという女の子が日常のなかで、服をえらんでお出かけしたり、友だちとダンスをしたりするなかで、プログラミング的思考について学んできます。

すでにプログラミング教材を触ったり授業で使用したりしたことのある方や、この日初めて見たという方もいらっしゃいました。
各ブースで企業様のお話を聞く参加者の目は、とても真剣でした。

第4部 授業での実践を考える

 参加者にグループに分かれてもらい、プログラミング授業を実践した先生方のお話を聞いたり今後の課題について話し合いました。

 実施経験のある先生方から事前準備や授業進行の様子などをお話いただくと、今後実施したいという方々から質問が飛び、今後に向けた活発な議論となっていました。
指導者不足やハード面の設備不足等の課題はありますが、プログラミング教育を推進していきたいという方々の意見交換の場にもなっており、非常に良い雰囲気でした。

懇親会

 懇親会では、他のグループの方々と交流したり、プログラミング教材のより詳しい説明を聞いたりと、皆さま思い思いに過ごされていました。

 最後に、LEGO WeDo 2.0とルビィのぼうけん こんにちは!プログラミング、Hour of Code Tシャツが当たる福引を実施し、会場は大いに盛り上がり閉会しました。

参加者の感想

本イベントに参加した方々のアンケート回答を一部ご紹介させていただきます。

Q1. 今後プログラミング授業を開催できそうですか?

Q2. ご意見・ご感想をお聞かせください。

  • 他校での実践状況を知ることができた。
  • プログラミング教育必修化の加速度に驚いています。現場の対応が今後の大きな課題だと思います。
  • プログラミングを授業に導入するアイディアの参考になった。
  • 他教科に良い影響を及ぼすという点が参考になった。
  • 学校単位ではなく、自治体のバックアップが必要だと思いました。
  • できれば今年度中に教員向けの研修を設けたいと思います。子供達にとっての壁はないと思いますし、将来的にもとても必要だと思います。
  • プログラミング教育を行う上でのハード面の整備が必要だと思った。
  • 是非ご協力いただきながら子供達の教育活動の充実を図りたい。

 2020年度のプログラミング教育必修化に向けて考える良い機会となりました。
ご参加いただいた方々、サポートしてくださった方々、誠にありがとうございました!

 みんなのコードは、プログラミング教育を推進していく先生方をこれからも全力でサポートしていきます。
ご質問やご相談等いつでもお待ちしております。

SHARE