みなさん、こんにちは!高知県須崎市にある子どもたちが自由にテクノロジーに触れられる居場所てくテックすさき(以下、てくテック)を運営している西森です。
てくテックは、2022年に高知県須崎市で開館した子どもたちが無償でデジタルものづくりができる拠点です。須崎市内はもちろん、市外からも子どもたちが来て、PCやタブレット、3Dプリンターなどの機材を使い、イラストや3D制作、音楽、プログラミングなどに自由に挑戦できます。
今回は、てくテックで全5回にわたって開催した「イチからプロに学ぶ CM制作講座」のレポートをお届けします。初めての長期連続講座のなかで、子どもたちがどのように変化していったのか。ぜひご覧ください。
※本プロジェクトは、2025年度「子ども第三の居場所」寄付金・支援事業のプロジェクト(日本財団と(特)Learning for All)の助成によるものです。
地域の大人との出会いから子どもの世界が広がる
てくテックでは、子どもたちがデジタルものづくりを体験できる環境を整えています。
私たちが大切にしているのは、機材や技術そのものだけではなく、地域の大人と子どもたちが出会うことです。
学校生活のなかで、子どもたちが触れられる仕事や大人の姿は、どうしても限られがちです。けれど、それぞれの地域には、さまざまな仕事や専門性をもつ大人たちがいます。
子どもたちがそうした大人と出会い、実際の仕事に触れることで、「こんな仕事もあるんだ」と世界が広がっていきます。そしてその経験は、将来の選択肢を考えるきっかけにもなります。今回のCM制作講座も、そんな地域の大人との出会いから生まれた企画でした。
“すごい!”から“どう伝える?”へ。プロとつくるCM制作
今回の講座では、株式会社アリガトウデザインコンサルティングの映像ディレクター黒川さんを講師に迎え、鍋焼きラーメンをテーマにしたCM制作に挑戦しました。
子どもたちは
- 絵コンテづくり
- 小道具の制作
- 撮影
- 映像編集
- ナレーション収録
といった、CM制作の一連の工程です。一つひとつの工程に関わりながら、チームで1本の映像作品をつくり上げていきました。

参加した子どもたちのなかには、すでにてくテックで動画編集に挑戦したことのある利用者が2人いました。普段からゲーム実況動画を自分たちで制作しており、映像づくりへの関心をもって今回の講座に参加してくれました。
一方で、映像制作に興味はありながらも、編集作業は初めてという子どもも多く参加しました。
経験の異なる子どもたちが集まり、チームで一つのCMをつくることになったのです。ドローンやカメラなど、普段はなかなか触れることのない撮影機材が登場すると、子どもたちからは「すごい!」「見たことある!」という声が上がりました。しかし、講座が進むにつれて、子どもたちの関心は少しずつ変わっていきました。機材そのものから「どう撮れば伝わるのか」「どうすれば魅力的に見えるのか」といった、表現の工夫へと移っていったのです。
「これじゃだめだ、もう一回撮ろう」から生まれた、子どもたちの主体的な制作
講座の中で印象的だったのは、子どもたちの主体的な姿でした。
撮影した映像をモニターで確認したときのことです。 映像を見た子どもから、こんな声が上がりました。
「これじゃだめだ。もう一回撮ろう」

子どもたちは納得がいくまで、撮影と確認を繰り返します。監督、撮影、出演の役割も交代しながら、チームで制作を進めていきました。
料理の撮影では、具材の配置について意見を出し合う場面もありました。
「ネギはこっちの方がいい」
「具はもう少し少ない方が映える」
モニターを見ながら議論を重ねていき、より良い映像を目指していきました。
編集の作業では、これまで撮影した映像を見返しながら、どのカットを使うかをみんなで話し合いました。同じシーンでも「こっちの方がいい」「このカットの方が伝わる」といった意見が出てきました。
初めて編集に挑戦した子どもからは「難しいけど楽しい!」という声もありました。モニターを見ながら意見を出し合う様子は、まるで小さな制作チームのようでした。
プロの仕事に触れることで、子どもたちは少しずつ制作の面白さに気づいていきました。
全5回の取り組みを振り返る
今回の講座は、全5回にわたって行われました。それぞれの回で、子どもたちは少しずつ経験を積み重ねていきました。
第1回 1月17日
CMの仕組みや撮影の裏側を学び、鍋焼きラーメンの魅力を整理
絵コンテづくりや小道具の制作、CMの構想設計
第2回 2月7日
実際の撮影に挑戦
監督・撮影・出演の役割をローテーションしながら、納得のいく映像を撮影
第3回 2月21日
ドローンを使った撮影や料理の撮影
鍋から立ちのぼる湯気の表現や、具材の配置などにもこだわりをもつ
第4回 3月7日
黒川さんのスタジオを訪問し、これまで撮影した映像を見返しながら編集作業を体験
最後はナレーション収録にも挑戦
第5回 3月14日
完成したCMをみんなで視聴し、講座全体の振り返り
完成したCMは、てくテックの公式YouTubeで公開。さらに、高知市内の大型ビジョンでの上映も予定されています。子どもたちがイチから制作したCMが、多くの人の目に触れる機会になります。

地域とともに、これからも
今回のCM制作講座では、子どもたちがプロの仕事に触れながら、一つの作品をつくり上げました。地域の大人と出会い、仕事の現場に触れる経験は、子どもたちにとって大きな刺激になります。その経験が、将来の選択肢を考えるきっかけになるかもしれません。
てくテックでは、これからも地域とともに、子どもたちの学びの場をつくっていきます。
また、子どもたちと関わってくださるメンターも募集しています。
「自分の仕事を子どもたちに紹介してみたい」
「ワークショップをしてみたい」
そんな思いを持っている方がいらっしゃいましたら、ぜひご相談ください。地域の大人と子どもたちが出会うことで、新しい学びが生まれると考えています。

完成したCMはこちら!
今回の講座で制作したCMは、てくテックすさきの公式YouTubeで公開しています。
子どもたちが絵コンテづくりから撮影、編集、ナレーション収録まで行い、イチから制作した作品です。ぜひご覧ください。
メイキングはこちらからご覧になれます。
また4月1日から1ヶ月間、高知市内の大型ビジョン「帯屋町ビジョン」で放映されます。

