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子どもたちの創造的活動機会の必要性に関する提言

提言

 特定非営利活動法人みんなのコード(神奈川県横浜市、代表理事:利根川 裕太、以下みんなのコード)は、「誰もがテクノロジーを創造的に楽しむ国にする」をビジョンに掲げ、2015年の団体設立以来、小学校・中学校・高等学校および地域において、プログラミング教育を起点に情報教育の発展に向け活動してきました。社会教育の側面においては、子どもたちがテクノロジーを活用した創造的な活動が行える居場所事業を行っています。

 私たちは、まだ誰も見たことのない未来を生きていく子どもたちが、どんな事情にあっても自身の未来を自由に描くことのできる社会を作るために、子どもたちが無料で新しいテクノロジーに触れながら自由な活動を行うことができる居場所を全国に普及させるべきだと考え、この提言を発表します。

子どもたちの創造的活動機会の必要性に関する提言

【背景】創造的な活動機会の格差

 昨今、生成AIの台頭などテクノロジーの進化の速度が加速し続けています。また、十数年後には今ある仕事の多くがなくなっているとも言われ、未来を予測することが困難な時代となりました。さらに、日本は未踏の「超少子高齢化社会」に向かっているため、あらゆる業界・職種で”働き手”が不足するという見立てもあります。

 日本においては、公教育におけるGIGAスクール構想によって児童生徒に1人1台端末が支給され、デジタル端末の教育的な活動が進んでいます。一方で、子どもたちがそれらを活用して、自身の興味を深めながら自由に活動する機会は、学校の中だけでは充足が難しい現状があります。また、家庭の経済格差や地域間の差などによって、学校外で創造的な活動をする機会格差も生じています。

課題 ①「創造する」はみんなにできるのか

 アドビ株式会社の「日本の高校生の想像力(クリエイティビティ)に関する意識調査」によれば、子どもの心理的な要因によって創造的な活動に向かうモチベーションには差が生じることが分かっています。

 これまでは、創造性を具現化するためには、「技能」や「技能を磨くための環境」が必要でした。そのため、創造力に対する苦手意識が生まれやすい状況が存在していたと考えられます。

 一方で、テクノロジーを活用すれば、従来よりもはるかに簡単に思いついたアイデアやイメージを形にすることができます。テクノロジーを使う機会の普及によって、創造力を育みやすい環境を作ることができると考えます。

課題 ②「テクノロジーを活用する」はみんなにできるのか

 タブレットやスマホなどのデジタルデバイスが広く普及しましたが、子どもが好きな時にそれらを自由に使えるかどうかという観点では、地域間・家庭間の格差などにより、子どもたちが得られる機会には差が生じています。この差が存在する限り、テクノロジーが進化しても子どもの可能性や未来の選択肢の格差は埋まりません。

【提言内容】すべての子どもが、クリエイティブな表現活動に熱中できる居場所が必要

 私たちは、すべての子どもが創造的な活動機会を得られる居場所を全国に普及すべきだと考え、この提言を発表します。

 今後、この提言を実現させる具体的な方策を確立していくために、私たちがすでに運営している3つの居場所の先行事例に加え、全国の自治体、政府関係者、専門家、企業の方々と共に、仮説検証や実証実験を行いながら新たな運営形態を探っていきます。

【クリエイティブハブ事業部 部長 末廣 優太 コメント】

 2019年に私たちがこの事業を開始して以来、新しいテクノロジーに触れながら自らの可能性に気づきより良い進路へと進んでいく子どもたちの様を目の当たりにしながら、このような機会を日本全国の子どもたちへ届けたいという思いが募りました。

 しかしながら、この活動を続けることは、私たちだけの力で実現することは到底できないという現実に直面する日々の連続でもありました。

 今回の提言を通じて、より多くの方に理解と支援をいただくことができれば、目指す社会の実現に向けてさらにアクセルを踏むことができると考えています。ぜひ、一人でも多くの方に、まずはこの課題についての関心を持っていただけると嬉しいです。