みんなのコード代表理事の杉之原です。
私は、昨年7月、みんなのコード10周年の節目に創業者の利根川から代表理事のバトンを受け取りました。
代表理事になる前から取り組んでいたことのひとつに、組織の地図づくりがあります。試行錯誤を重ね、作成に丸3年を要したインパクトマップ(ロジックモデルを少しアレンジしたもの)を今年4月に公開しました。
ここまで3回に渡って、インパクトマップ作成の過程を書いてきました。この記事では、実際に作ってみてどうだったか、活用と認識している課題について書きたいと思います。
インパクトマップへの思い
①Missionを起点にする
ロジックモデルとは、事業における「資源・活動・成果」の因果関係を図式化した設計図のことで、一般的にはインプットから始まります。

3年間の紆余曲折を経て、ロジックモデルは事業や案件ごとに作るもの、インパクトマップは会社全体を表したもの、と整理しました。私たちは「ロジックモデルは事業や案件ごとに作るもの」「インパクトマップは会社全体を表したもの」と整理しました。そのため、みんなのコードのインパクトマップは、インプットからではなく、ビジョンを実現するための3つのミッションから始まります。

②ネーミングへのこだわり
「ロジックモデル」ではなく、「インパクトマップ」という名前を新しく作ったのには理由があります。それは、「ロジック」というカタカナを使った瞬間、人によって「理屈っぽい」「難しそう」といったハードルの高さを感じさせてしまう懸念があったからです。
私が作りたかったのは、一部のメンバーだけが理解できる論理構造ではなく、社内外の多様なステークホルダーに共感いただけるような、一緒に未来を描ける地図でした。そのため、より前向きに響く「インパクトマップ」という呼称をつけました。
実際、作ってみてどうだったか
2026年4月にインパクトマップを完成させたばかりですが、現時点で実際にどのように活用できそうかを書いてみたいと思います。
①全社コミュニケーションのツールとして
みんなのコードでは、年に2回、全国から全社員が集まるオフサイトを開催しています。毎回、ビジョンやバリューなどの抽象度が高いテーマを設定しています。
今年1月のオフサイトでは、インパクトマップの中からミッションをテーマにワークショップを開催しました。インパクトマップの作成に伴走いただいたPwCコンサルティングの皆さんにも同席いただき、どのような思いからプロジェクトに参加されたかや、インパクトマップ作成の舞台裏を伺いました。

②資金提供者との対話・提案ツールとして
みんなのコードは、資金提供者の方々と一緒にプロジェクトの内容をゼロから考えていく性質上、これまでの提案活動では、メンバー自身が「組織全体として、これから何を成し遂げたいのか」という大きな方向性と目の前の活動を紡ぎ出すのが難しい側面がありました。
しかし、インパクトマップという形にしたことで、私たちの活動がどこを目指し、どのようなアクションが求められていて、どんな指標で測れるのかを、まだ朧げながらも表現することができました。これからは、社外の皆さまと一緒に未来を描いていくための「地図」あるいは「メニュー表」のような形で、対話を補助してくれるのではないかと期待しています。
認識している課題
現在のインパクトマップには、積み残しが2点あります。
①文字が多すぎる問題
作ってみて痛感したのは、全体的に情報量が多く、パッと見て直感的に理解しづらい状態になってしまっていることが課題です。また、起点となるミッションの文章も長すぎるため、メンバーが日常的にパッと思い出せないという課題があります。より研ぎ澄まされた表現へのブラッシュアップが必要です。
②KPI設定は模索中
インパクトマップに記載したアウトプットKPIは、現在も活動報告書等でご報告している数字を羅列するにとどまりました。本当は、私たちが目指す社会像に直結し、社会に変化をもたらすクリティカルなレバーとなるような指標を設定したかったのですが、これについては、今後事業活動を進めながら引き続き模索していきたいと思います。
社会に変化をもたらすために
ロジックモデルの作成を機に、社外でのつながりも増えました。ロジックモデルの作成過程で絶賛迷子になっていたころに、藁をもつかむ思いで同社が開催する「インパクトオフィサーの学校」を受講しました。
IMM(Impact Measurement and Management)の概念を体系的・実践的に学ぶ中でも、加藤さん(社会変革推進財団(SIIF)事業部長)の講義で、インパクトは草の根的に社会に変革を起こしていくことを志向しているというメッセージが胸に残っています。
講座を修了してから2年が経ちますが、同期の藤村さん(一般社団法人Fora 代表理事)、榎本さん(株式会社LITALICO LITALICO研究所 所長)、稲垣さん(一般社団法人ウィルドア マネージャー)、みんなのコード阪上と一緒に、教育関連事業者の垣根を越えたインパクトを探索すべく、「学校と外部事業者の良い連携のあり方」をテーマにアクションを続けています。

ロジックモデル(あるいはインパクトマップ)は、元来、社会に良い変化をもたらすことを志して作成しているものであり、それは決して1社で出来ることではありません。
ようやく一歩を踏み出したところですが、社内外の多様な仲間たちと協働し、試行錯誤を繰り返しながら、良い変化をもたらすためにアクションしていきたいと考えています。
「ロジックモデル」というややマニアックなテーマではありましたが、全4回にわたってお読みいただき、ありがとうございました!
(関連記事)
第1回:ロジックモデル作成に3年。組織の「対話沼」の始まり
第2回:ロジックモデル作成で陥った罠。「既存事業の整理」から「インパクトマップ」へ
第3回:ロジックモデル作成で出会った5つの大切な問いと葛藤

